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□修学旅行
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「ついたね〜」
「そうだな。……って、折角の修学旅行なんだから食べ物を置け、食べ物をっ!」
バスから降りたとたんにパールはビシバシとダイヤモンドを叩いた。
痛いよ〜、と言いながらも最後の一欠片までクッキーを手放さないダイヤモンド。
「ったく、ダイヤ!お前、ちゃんと寺や仏像を見る気があるのか!?」
「それはパールも一緒でしょ〜?」
図星なので反論できない。
言葉を詰まらせるパール。
「あ、速く行かなきゃ。パール、行くよ〜」
(こいつが時々ものすごく遠くに感じられるのは、俺だけだろうか)
モヤモヤとした言い表せない不安を感じつつも、
ダイヤモンドに軽くつっこんで、いつものように振る舞った。
◇◆◇◆◇
「は〜、やっと自由行動かあ〜。夕飯まだ〜?」
「ダイヤはずっとおばちゃん達から御菓子もらいっぱなしだっただろ!
食べ続けてただけマシだろ、俺はハラペコだってのに」
そもそも何故、おばちゃん達から御菓子をもらえるんだ。
おばちゃん達にピンポイントで庇護欲を誘ってるんだろうか?分かんないけど。
「お、八つ橋あるじゃん!さすが京都!」
「古都って感じだよね〜」
「ダイヤ、京都って古都だからな!?」
ボケなのか天然なのか分からないのが末恐ろしいぞ、ダイヤ。
瞬時に買った八つ橋をもそもそと食べだすダイヤモンドに、
パールは修学旅行のしおりを取り出して話す。
「今が自由時間で、16時に自分達のクラスのバスに集合かー」
「大分時間に余裕があるね」
それまで何をするか話し合ったあげく、結局本来の予定通りに
フラフラと歩いて探検しよう、という風に話しはまとまった。
「先生に会ったら全力で逃げようなっ!」
「笑顔で言うことじゃないよ、パ〜ル〜」
後ろめたいことをするわけでもないのに、逃げる必要性はあるのだろうか。
「行きたい所とかあるか?」
「んー、先生がいるこの先の入った道に行くと、先生から御菓子もらえるよ〜」
「……どっかに書いてあったか?」
ううん〜書いてないよ〜、といつもの調子で返してくるダイヤモンド。
「でも、見てる限りじゃ〜ん」
何故、分かる。
俺にはさっぱりだけどな、ちくしょう!
文句を言ってもダイヤモンドは怒らないだろうが、仕方ないことだと
分かっているので、口を閉ざすパール。
と、必然的にダイヤモンドが話し出すことになる。
「この先に行く〜?それとも別の道を行く〜?」
「別の道、行ってみようぜ」
うん、とうなずいたダイヤモンドを引き連れて歩きだす。
日が傾いてきていて、遠くの空がオレンジ、
自分達の真上は淡い紺、群青色に染まっている。
白い月を見止めて、ああもうそんな時間なのか、と実感する。
このまま突き進めば先生のいる道に入る。
折角の修学旅行で先生と思い出を作る気はそんなにない、と結論付けて
別の道へと踏み出した。
「……あ」