pkmn

□修学旅行
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「あ……」

先に声を発したのは、ダイヤモンドだった。

ダイヤモンドの見る方向に慌て振り返り見ると、そこには自分達と
同じくらいの年であろう、少女がいた。

淡い空をバックに、幻想的な、絵のような風景だ。

少女はとても美しく、気品に富んでいた。

(お嬢様みたい……)

(なんでこの子、こんな所になんかにいんの?)

2人はそれぞれに見惚れ、感想を持った。


「誰ですか?」

厳かな雰囲気で、少女が問いた。


「お、オイラはダイヤモンド〜」

「俺はパールです」

ふうん、という擬音がつきそうな目付きで値踏みするかのように
少女は2人を見た。


「分かりました。あなたたちは何故、ここにいるのですか?」

場合によっては警察を呼びますけど、と言われて震え上がる2人。


「オイラたち、今自由行動の時間なんだ〜」

「そ、そう!だから、街中を探検してるんだよ!」

全く怖じけることなく話し出すダイヤモンドに便乗するパール。


「そうですか。でしたら少し、お願いできますか?」

急に、安心したのか声色が軟らかくなる。


「お願い?」

「はい。この場所まで、案内してくださいませんか?」

堂々と差し出される地図には、ある一点に大きく×がついていた。


「あ、ダイヤ、ここってさっき行った寺じゃないか?」

「あ〜、だったらオイラでも道分かるよ〜」

「本当ですか!?」

目を輝かせる少女に、そういえば、とパールは問う。


「あんたは何て名前なんだ?」

「下々の者に名乗る義理はありません」

「しもっ……!?」

いい放たれた言葉に衝撃を隠せない。

どう見ても同級生なんだしいいだろ、と思うものの口が動かない。


「では、案内してください」

「うん〜、じゃあ行こうか〜」

これで話は終わり、と言うかのようにこともなく言う。

ダイヤは何故か言うこと聞いてるし。


「っ〜、なんだってんだよ……」

夕空に小さく、文句は散った。
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