pkmn
□呟き日和
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「マジで届いた……」
ほう、と思わず感嘆が漏れる。
「よしっ、早速呟いてみるか!」
《呟きなう。 ゴールド》
「おおおおおおっ」
何だか無駄に感動した。
俺の言葉、図鑑から見られちゃうぜ!
◇◆◇◆◇
「……私もしてみようかしら」
距離的な問題からか、ゴールドよりも図鑑をはやく取り戻した(?)ブルー。
だがやはり、一番乗りは気が引けたのだ。
調子乗ってるみたいだし。
「よし、やろう……」
【私も呟いちゃうわよ! ブルー】
◇◆◇◆◇
「わ、結構みんなやってるんだ……」
チュチュと図鑑を除き込んでオロオロと操作するイエロー。
「えっと……あれ?」
<ぼくもやつてみました イエロー>
可笑しい、変換の方法が分からない。
<へんかんつてどうやつてやるんですか イエロー>
◇◆◇◆◇
「うわー、みんな使いこなしてんなー」
にこにこと笑いながら画面をスクロールさせてここ数分の呟きを見るレッド。
「あれ、イエロー? ……機械オンチなのか?」
とりあえず助けようと自身も呟いてみる。
(ieroー、daijyoubukaー? レッド)
「うわっ」
まずは自分が大丈夫か、と乾いた笑いを溢すと画面にも呟かれる。
《レッド先輩こそ、大丈夫ッスか?(笑) ゴールド》
<れつどさんだいじようぶですか イエロー>
◇◆◇◆◇
「何だ……これ」
ギャグにしか見えないやりとりに、ため息を漏らすルビー。
「これじゃあ呟きというより、掲示板みたいじゃないか」
「む、文句あるならやらなくてよか」
頬を膨らませながら言うサファイア。
「! これこそ呟くべきだよな!」
急にエメラルドが図鑑を器用に操作しだす―――。
∈いちばんのりは、むりだったとね サファイア∋
≦コレ、掲示板みたいじゃないですか? ルビー≧
[いちゃつくなー! ラルド]
◇◆◇◆◇
「何事も、経験が、大切なんです」
一人で言って、図鑑と向かい合うプラチナ。
「……とは言っても、何を呟けばいいのでしょうか?」
しばしの沈黙の後、思い付いたことがあったのか図鑑に手を伸ばす。
{こんばんは。今日の夕食は五つ星レストラン『ダイニング・リッシ湖』で頂く予定です。 プラチナ}
◇◆◇◆◇
「パ〜ル〜」
「おうっ、どうした? ダイヤ」
えへへ、と意味なく笑っい、ポケットから引っ張り出して図鑑を見せるダイヤモンド。
「お嬢様が呟いてるよ〜」
「…………なんつーか、これ本当に呟きか?」
語尾が“です”なことが気に食わないのか、五つ星レストランが羨ましいのかあきれて言うパール。
「オイラたちも呟こうよ〜」
「そうだな、どうせだし」
〔お嬢様、もっと軽い感じでいいんだよ? ダイヤ〕
⊂俺は今日、ダイヤの家でシチュー頂くんだぜ! パール⊃
◇◆◇◆◇
「……打つタイミングが分からない」
やりたくてウズウズしているのに、どうしていいのか分からなくて悩むクリス。
《そういやクリスもシルバーも呟かないなー ゴールド》
新着にドキリ、として図鑑を持つ手を僅かに震わせるクリス。
【シルバーは……あんまり呟かないかもしれないわね ブルー】
<そうなんですか イエロー>
【あの子、結構干渉を嫌うから……呟いほしいなー ブルー】
《シルバーが呟くって……どんなスか、ね ゴールド》
確かにどんなんだろう。
今の状況を打破するチャンスかもしれないと思い、画面に迫る。
≦なんでもいいんじゃないですか、呟きたいことを呟けば ルビー≧
∈ルビー、それっぽいと サファイア∋
【サファイア……結構辛辣ね ブルー】
[否定しないよ、どちらとも ラルド]
くすり、と思わず笑ってしまう。
今なら呟ける、そんな気がした。
:エメラルドくんも辛辣だね…… クリス:
◇◆◇◆◇
(yarikatadareka、osietekureー レッド)
(are、itsunomanijaminnnainai感じ!? レッド)
(うわ、よっしゃー! 今頃だけど変換できるようになったー! レッド)
(……誰もいないな レッド)
(あ、そういえばグリーンとシルバーはまだ呟いてないよなー レッド)
(呟いてくれたらいいのになー レッド)
……………
(もう寝てやる、なう レッド)
◇◆◇◆◇
≦やっぱこれじゃあ掲示板じゃないですか! ルビー≧