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□先輩とお話
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「えっと、プラチナ……さん?」

シンオウ地方、ズイタウンにて、ダイヤとパールに会うために
育て屋を訪問しようとしていたプラチナに声がかけられた。


「……はい?」

振り向き様に誰なのかが頭のなかで考え出される。

声から、女の人。……多分。

私のことを知っている、けれど私は分からない――そのため、
会ったことのない人又は、あまり話したことがない人又は、……私を狙う誰か。


「あの、ボク、イエロー・トキワ・グローブです。図鑑所有者の……」

「あ」

言われてみて思い出した。

黄色の髪をポニーテールにした可愛らしい先輩。

面識はあるが、互いに話したことはない……。

黙り込んでしまったプラチナに、イエローは話題を振った。


「シンオウ地方って寒いですね」

「そうでしょうか?……カントーやジョウトよりも北にあるからだと思います」

寒そうに腕をさするイエローに、プラチナは先輩に何かした方がいいのだろうか、と考える。


「……この先にダイヤモンドとパールがいるのですが、よかったら一緒に行きませんか?」

「あ、はい!ありがとうございます!」

一人では無理だと判断したプラチナは2人に頼ることにした。

人に頼ることができるようになった分、成長したと実感する。


◇◆◇◆◇


「と、いうわけなんです」

育て屋の付近にて。

自己紹介を終えた先輩の後に続いて出会った経緯を話すと、2人は驚いたようだった。


「とりあえず、ドーナツ食べますか〜?」

「! いただきます!」

はぐはぐ、と食べ始めるダイヤとイエロー。

プラチナにも勧める。


「ダイヤ……お前はいつも食べ物を携帯するなよ、何で“とりあえず”で
 ドーナツ配るんだよ、他に色々とあるだろ!?」

ばちん、と叩くパール。

その様子にイエローは思わず目をつむる。


「け、ケンカはダメです……!」

「「「?」」」

きょとん、とする3人を前にケンカはダメだと繰り返すイエロー。


「ケンカじゃないですよ、ツッコミです」

意外にも、言い返したのはプラチナだった。


「お嬢さん……!」

感動したのか、涙をぬぐうそぶりをするパール。


「そ〜ですよ〜……確かに痛いけど」

「小声が怖い!え、痛くないだろ?」

びゅっ、びゅっ、とツッコミの練習なのか宙で手を振るパール。


「やっぱり痛いんじゃないですか。もっと平和的なツッコミはないんですか?」

「……う゛」

困ったかのように声をつまらせるパール。

先輩に正論を言われては敵わないらしい。


「ダイヤ、ちょっとついてこい、考えるぞ!」

「え〜、オイラも〜?」

失礼します!と言って走り去っていってしまう
2人に、『はわわ……どうしよう』と
イエロー先輩は少し慌てたようだった。


「先輩、質問してもいいですか?」

2人きりになってしまえば話題を出さなければ気まずくて仕方ない。

来訪者を上手くもてなすことができなければいけない、という
名家に生まれたからこその使命感に駆られるプラチナ。
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