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□先輩とお話
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「では、質問します」

肯定した先輩に話し出すプラチナ。


「先輩はどうしてシンオウ地方に来たんですか?」

「えっと……懸賞に当たったんです」

聞けば某有名旅行雑誌の懸賞らしかった。


「ブルーさんと応募したんですけど、ボクしか当たらなくて」

「どうしてズイタウンにいるんですか?」

言っちゃ何だがズイタウンには“これ”といって何もない。


「育て屋さんに、会ったことがあるんで、久しぶりに会おうかと思ったんです」

「そうなんですか」

それは驚きだ。


「あ、あの!」

イエローが不意に、意を決したかのように話に割り込む。


「何でしょうか?」

「ボクもプラチナさんに、質問してもいいですか?」

「はい」

一体何を聞かれるのか、と少しドキドキする。

パールなら『このやりとり、人見知りかっ!?』と言いそうな感じの会話の進行具合だが。

そんなことは気にしてはいけない。


「プラチナさん、プラチナさんは好きな人……とか、いますか?」

「!?」

突然過ぎて赤面することでほぼ肯定してしまうプラチナ。

(……バレましたか!?)

プラチナの心配を他所に、びくつきながらも説明を加えるイエロー。


「あの、ちょっと……相談してもいいでしょうか?」

「好きな人がいるんですか?」

恥ずかしいのか顔を赤らめて頷くイエローに、プラチナはしっかりと頷いた。


「私にも好きな人がいます……先輩、私でよければ、話してみてください」

以前読んだ青春恋愛小説で恋に悩む主人公が後輩に言われて、悩みを打ち明けるシーンの台詞。

それをそのまま言っただけ、ともいえるが。

(使えた……良かった、経験が生かせました……!)
何やら喜ぶプラチナに、イエローは気付かずに告げた。


「実はボク、前は男装ともいえない男装をしていたんです」

「…………そうなんですか」

聞かない方がよかったか、とか先輩の性癖が異常だ、とか思いながらも表情を変えないプラチナ。


「それで、前まで好きな人に……お、男だと思われてて」

「キツいですね……」

自業自得といわれてしまえば、それまでだろう。

でも色々と事情があったのだろうと予想されるし。


「その問題が解決というか……ボクの好きな人にボクが女だって、もうバレたんですけど。
 でもなんだか、急に意識されるようになっちゃって。悪い気がして、それで」

気晴らしにここまで来ました、と笑う。

何と言っていいのか分からない。

ダイヤモンドなら、共感して優しいことを言ってくれて、励ましてくれるだろう。

パールなら、いつもとは打って変わって神妙に、慰めてくれるだろう。

(私は、どう言うべきなのでしょう……?)

自分らしさ、なんて分からない。

分からないままに、プラチナは言葉を紡いだ。
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