pkmn
□髪の分だけ近付いて
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「あ、イエローじゃん」
ブルーと久々に出会い、どうせならグリーンとも会うか、と
2人でトキワシティに出向いた矢先、レッドは声をあげた。
見ると、いつも通り麦わら帽子を被った少年……もとい少女が
反対側の道を同じ方向に向かって歩いている。
「あら、本当ね。イエローと会うのも久しぶりだわ」
「そうか?俺は何かと会うんだけど」
不思議そうに首をかしげたレッドに、
ブルーは小さく『イエローの努力は報われていないのね……』と呟いた。
レッドに対して分かりやすくアピールを必死しているイエローが可哀想だ。
まあアピールに気づかないからこそレッドはレッドなんだけど、なんて
本人にはとてもじゃないが言えないようなことを思いながらも。
先輩としての優しさを見せてやりましょうか、なんて考えるブルー。
(おせっかい?誰よそんなこと言ったの。私はイエローの味方なのよ?)
「ここはブルー姉さんが一肌脱ぎましょう!」
「何がどうしてそうなったんだ、大丈夫かブルー!?」
突然の発言にレッドが2、3歩後退するも、ブルーは気にしない。
気にしていては今までやってこれなかっただろう、なんて何となく思った。
「ねーレッド、あたしグリーンに先に会いに行くから、イエローに声かけてから来なさいよ。
もちろん気を使って、時間がある程度経過してから来てよね」
「それはまた……急だな」
「何よ、文句あるの?」
ありません、とあきれたように言うレッドにブルーは心の中でため息をついた。
(あきれてんのはこっちの方よ!)
「じゃ、来なくてもいいけど一応言うわ、また後でね」
「……おう」
レッドの返事は、当然だけど不満気だった。
◇◆◇◆◇
「むう………」
ブルーに『声をかけてから来い』と言われたものの、突然声なんてかけたら迷惑じゃないか?
なんて考えつつも『どうせ迷惑なら何しても大丈夫か』
なんてレッドは思い付いた。
(実は麦わら帽子、取ってみたいんだよな〜〜……)
今までは迷惑かな、と遠慮してきたものの、今は迷惑ついでだ。
「……よし」
意気込んで、音をたてないように背後から近づく。
彼女は何やらご機嫌で、紙袋を両手で抱えて歩いている。
こちらには気付いていないようだ。
(……今だっ!)
麦わら帽子に手をかけた。