pkmn

□落とし物
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※レッドが片付け下手な設定
※色々とヒドイ
※キャラ崩れすぎ
※イメージきっと崩れます


「あら?」

マサラタウン郊外。

散歩がてらブラブラしていたブルーは落ちている帽子を発見した。


「これって確か、レッドの……」

赤と白の、帽子というよりキャップに近いものを拾い上げ、間近で観察。

うーん、見れば見るほどレッドの帽子に見えてくる……。


「こういうときはそうね、本人に確認を取る以外に無いんじゃないかしら」

久しぶりに会う口実にもなる。

少しだけ軽くなった足取りで、我が家に急いで戻った。


落とし物


「ママ、今日はレッドたちに会いに行ってくるから、遅くなると思うわ」

一応は拐われたことのある身であるがゆえに、簡単にはどこかに行けるはずがない。

事前報告を済ませモンスターボールを持ち、ポケギアでレッドを呼び出す。


「もしもし、レッド?」

『よっ、ブルー!久しぶり』

「……あのさ、」

そういう挨拶は常識的に掛けた側からすると思う、
なんてレッドに言っても仕方ないようなことが頭をよぎった。

気にしないで本題に入る。


「あんた帽子、ちゃんと持ってる?」

『数週間前から見当たらないんだけど、多分家にあるんじゃないか?』

「お願いだからきちんと確認して」

周囲の期待(?)を裏切らず、片付けがトンデモなレベルで下手なレッド。

この様子なら家なのだろう、直接行こうか。どうせ行く気だったし。


「今から行くから、それまでに見つけ出してね」

『はあ!?お前の家から俺の家まで15分もかからないだろ?無理だ!』

大丈夫、レッドならやれる。

こんな場面で使いたくはなかったがそんな台詞を吐いて、一方的にギアを切った。

変わらないな、あのバカ。

ひどいような気もするけど深く考えず、『行ってきます』という言葉と共に家を出た。


◇◆◇◆◇


「あれ?」

ブルーに勝手に部屋の片付けを命令されたため、久々に荒れた部屋を掃除するレッドが声をあげた。

別にブルーが『片付けをしろ』と言ったわけではないが、
散らかりすぎた部屋では探し物など到底不可能な作業なのは過去の経験から分かるレッド。

片付けから始める以外に物を探す方法が浮かばなかった。

ポケモンに手伝ってもらおうにも、足場がないほど散らかっているので、
ピカとブイ以外はまず出せなかった。

出すことさえできなかった。


「これって……グリーンの、か?」

半信半疑ながらも発掘の産物を手に持つと、確信が持てた。

絶対グリーンのだ。

冷や汗をかいているのを自覚しながらグリーンの物……借りた本を開いた。

いつ借りたのだろう?えーと、ナナシマに行く前なのは確かなんだけどな……。

びっしりとポケモンの生体について書かれている。

面白そうだが、今更感想と共に返しても殴られる気がした。

返さなくても今度会ったら殴られる気がしてきた。


「ピカ、ブイ、これどうしたらいいと思う……?」

「ぴぃか……」

「………」

ピカはあきれたかのような、ブイはもういつものことかのような、冷めた反応を返された。

あれ、心が痛い。


「今日中に返せたら返そう……」

後回しにしておくことにする。だって怖いし。

とりあえず片付けを再開した。


◇◆◇◆◇


「やっほー、帽子あった?」

「無かった」

レッドの家に着いて、開口一番に問うブルー。

おかしいな、と言うかのように首を傾げるレッドに拾った帽子を渡してやる。


「あっ俺の!……ブルー、盗んでたなら言えよ」

「さらっと、仮にも友人になんてこと言うのよ。盗んだわけないじゃない。
 第一その帽子を盗んで、私に何のメリットがあると思うのよ」

「えーと、“リーグ優勝したレッドの帽子”としてオークションに出す……とか」

む、そうすればよかったかも……なんて、私は思わないんだからね!


「落ちてたのよ。落としたことにも気付かなかったの?」

「あー、そういえば“そらをとぶ”の最中に飛んでったなあ」

何故探しに行かなかった。

やっぱりレッド意味不明。


「まあこうして無事、俺の手元に戻ってきたわけだし!」

「ゴールドみたいなテンションね……『よくあるこった、気にすんな』とか言わないでよ」

「さすがに後輩の持ちネタは奪わないって〜」

持ちネタとか言わないであげて、不憫だから。


「あ、そーだ。ブルー、ちょっと頼まれてくれないか?」

「何よ、私に無料でパシリさせる気?」

「有料ならやるって言ってるようなもんだぞ、それ。大丈夫か、そんなこと言って」

「そのつもりで言ったんだもの、大丈夫よ」

さすがブルー、と意味深に呟き財布を荷物の山から探り出すレッド。

その山は何だ、片付けたつもりなのか。

より分けただけでは“片付け”とは言わないんだよ、レッド。


「はい」

「ちょっと待ってレッド、500円?リーグ優勝者が500円?」

「リーグ優勝関係無いだろ」

優勝者に賞金とかなかったっけ。


「まあいいわ……1000円なら引き受ける」

「う゛ー……その話、乗る」

乗るんだ。

本当に1000円払ってまで、私に何をさせる気よ。


「これをグリーンに返してほしいんだ。グリーンと俺の関係が
 変わらないままに取り合ってくれれば、報酬ははずむから」

「何したのよ、レッド」

あからさまに目を反らすレッドから本を受けとる。

パラパラと開いて中を見たが、私には到底理解できそうにない
難しい本だということしか分からなかった。


「じゃ、頼んだからな!」

半ば追い出されるかのようにレッドに背を押され彼の家を出た。


「あ、後払い……!?」

数分してから気付いて、呟いた。


◇◆◇◆◇


「どうしたんだ」

「いや、その、意味は無いんだけどね」

近くに来たからついでに!と取り繕うかのように慌て付け加えるブルー。

レッドからの謎の依頼を遂行するべく、ブルーは同じくマサラタウン、グリーンの家に来ていた。

何ということだろう、勝手に部屋に入って本棚に入れておこうと思っていたのに。

今日に限ってジムが休みで、実家にいるだなんて。

もっと働け!

働いてもいない、考えてみれば無職な私が言えることじゃないから言わないけど。


「き、今日はジム、休みなの?」

「ああ。……休みだと知らないのに来たのか?」

ぎくっ。

思わず体を縮ませる。

しまった失言だ、これじゃあグリーンの居ぬ間に侵入したかった、と自白したようなもの。

誤魔化そう、誤魔化しきれる気もしないけど。


「グリーン、あのね……」

ぐい、と急接近して言う。

正直に言うと、私はそれなりに可愛い方だ。

可愛い子に寄られれば、いくらグリーンでもドキドキして、不審な点をスルーしてしまうはず!


「熱でもあるのか?」

「違くて!グリーン、あの、あたし、話があって」

「?」

ノープランだけど話続ける私。我ながら天才だと思う。

レッドにはできないわよね、ホホホ!


「グリーン、あたし、最初に会った時から……」

たっぷりと間を取る。

こういうのは間が肝心だ。


「グリーンのことをイケメンだと思ってるわ」

それだけなんだけどね。

告白でも何でもない。


「だから、ねえ、グリーン」

何とかしてこの局面を乗りきらなければ……!


「―――、邪魔しないで?」

ばっ、とグリーンが注意を反らしている間に用意したきのみの果汁を顔面に向けて発射。


「かっ―――!?」

驚いてる、驚いてる。

でもただの『イアのみ』だから酸っぱい、もとい少し酸性なだけ。

体に害なんて無い。


「ホホホ、失礼!」

本棚に本を差し込んで誤魔化して、窓を開ける。


「ブルー!?」

「アデュー」

カメちゃんをボールから出してグリーンの家を去る。

ああもう、たかが1000円のために頑張りすぎかしら。

でもされど1000円よね、なんて考えながらレッドの家に向かった。


◇◆◇◆◇


「あの女……」

悩みがあるのか、と話を聞いていたはずなのにきのみの果汁をかけられたグリーン。

だが目が痛んだのも数秒、目を再び開くと。

窓を開けたブルーが仁王立ちしていた。


「アデュー」

去らば、と言うかのごとく。

してやったり、と言うかのごとく。

水を地面に噴射して部屋から去る少女。


「ちっ……」

短く地面に舌打ちを食らわせる。

大方レッドと『肝試しだ!』なんて言って、俺の部屋に侵入しようとしたのだろう。

以前にも似たようなことをしていたのを思い出して、自分の推測に裏付けさせる。


「それにしても、あの誤魔化し方は強引だろ……」

いつものブルーらしくもない。

まあ本人も、相当焦ったのだろう。


「……?」

床に落ちたポケギアに目が止まる。

ブルー……逃げることくらいはやりとげろよ。

はあ、と大きくため息をついた。


◇◆◇◆◇


「お帰りー」

「ちゃんとやったわ、1000円よこしなさい」

「サンキュー」

ちゃりん、と1000円+報酬だろう、537円が置かれた。


「また随分と中途半端ね……」

「それ、今の俺の全財産」

「…………え?」

全財産なげうったのか。

そんなに本を返したかったのか。


「ブルー、本当にありがとな!」

「別にいいわよ、あれくらい……」

お金を返したくて仕方ない気もしてきた。頑張ったけど。

全財産は、重いよ。


「レッド、悪いけど……」

ピンポーン

電子音が私の言葉を遮った。


「レッド、ブルー、いるんだろ?」

とんとん、と控えめなノックと共に届く声。

さああっ、と血の気がひく。


「え、何でグリーンがいるの」

「ジム、休みだったらしくて」

はあ!?と表情を変えるレッド。

グリーンは『入るぞ』とドアを開け、勝手に入ってきた。


「「!!??」」

顔を見合わせる。

もう戦慄するしかない。


「? どうかしたのか」

何事もないかのように2人を見て話すグリーン。


「ブルー、忘れ物だ」

「あ、ありがと……」

ぽとり、と上から落とされるポケギアを慌ててブルーは受け取った。


「それから、2人とも」

「「!」」

説教だ、と体を強張らせる2人。


「家宅侵入は犯罪だぞ」

分かったな?とだけ聞いて、そのまま帰っていく。

ぱたん、と玄関のドアが閉まった音を聞いてもしばらくは動けなかった。


「グリーン、気づいたのかな……?」

「ごめんなさいごめんなさいもうしませんごめんなさい……」

「レッド、それむしろ怖いからやめて」



落とし物には、ご注意を。
















うわ、荒れてる……!
私が荒れてる……!!

今回は“落とし物”“勘違い”“悪友”をテーマに書きました。
ブルーとレッドは悪友なんだよ!(意味不明)
楽しかったけど我ながらグダグダにしか書けなかった。
こんなはずじゃなかったのに。
文才が欲しい……!

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