pkmn

□告白
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※2人が幼少期の性格(→ルビーだけ変化)
 むしろユウハルかも?





さあああっ、と心地よい風が頬を撫でる。


「………話ってなあに?」

不思議そうに尋ねてくるサファイアに僕は花束を差し出す。


「!」

驚く彼女に、僕は続ける。

長い間君のために考えてきた言葉を。


「もしも僕のために、君が身を挺して、
 僕の代わりに、死んでしまったとしたら」

え?と首を傾げるサファイアに、
仮定の話なのだけれどと注釈を入れる。

「それでも、もしも、そんなことがあったら
 そんな世界に残された僕は、一人で何をすればいい?」

「そういうのって普通は、男の子の方が死んじゃうものじゃないの?」

そうかもしれない、と僕は力なく笑う。


「でも君はそういう、優しい人だから。
 だからあえて、そんな仮定の上で君に話したいことがあるんだ」

少し長いけど、全部聞いてほしい。












それは思い返せば昔のこと。

君を一目見て好きになった、いわゆる一目惚れをしてしまった僕は、
何とかしてニコリともしない君を笑わせようと、考えたんだ。

『ねえねえ、見てよサファイア!』

『…………』

『ねえあの雲、ミズゴロウみたいじゃない?』

『…………』

『ねえってば……』


だけどそんな面白くもないことで笑わせようなんて考えは、
当たり前だけど通用しなくて。

君は見向きもしてくれなくて、
僕の想いは見事に打ち砕かれてしまったわけだ。

だけど。

(僕一人がヘラヘラ笑ってたって、君が笑うはずなかったんだ、って)

気付いたから、ちゃんと変えたんだよ?

これじゃあまるで道化師だ……君専属のね!なんて笑い飛ばそうとしたけど、
さすがにそれはキツくって。

おどけて言ったって、君は全くの無反応で。

(でも僕だって諦めなかったんだけどね)


『サファイア、おはよう!いい天気だよね』

『……お早う、ございます』

『聞いてよ、僕、朝から父さんに怒られちゃってさ』

いつも通りの無反応を示す君。

今日こそ笑え!とむしろ願うより命令のように思う僕。


『……それで、』

『あの』

突然、今までは無かったのに会話に割り込んできた君。

珍しくて、ああ今日こそは笑うかな、なんて淡い希望を抱いて。


『なあに?サファイア』

『あなたはどうして、怒られた話を笑いながら言うのですか?』

『あー……』

ハッキリ言うべきか言いよどんで、でも結局。


『君に笑ってほしいから……じゃ、ダメかな』

君と話せるなら、どんな話しでも笑える。

(笑えるくらい、君が好きなんだよ)





時は流れて、想いも重なって。

ここからが最初に言ったたとえ話なんだけど。

当たり前のように僕のそばにいた君が、ある日突然いなくなって。


―――僕はその重みを初めて知ることになるのだと思う。


あの日、君の華奢な小さな手を離さずに。

……強く、捕まえていられたならば。

(そうできたらどれだけよかったのだろう、と)

僕は結局は一人で自己満足していただけで。

『これじゃあまるで、嘘つきだね』

散々何度も、“君のため”とか言ってきちゃって。

バカだ、何がどこが君のためになったんだ。

(手をつかむことすら、できなかったのに)

呟いた言葉だって、言葉さえも、届かなくて。

だから今度こそ。

(嘘つきにならないためにも)

君を助けるために、奮闘するだろう。


『待ってて、すぐに行くから』


ずっとずっと、走り続けるよ。

今度こそ本当に、君のために。君だけのために。

そう想って。

“君のすぐそばに行きたい”

ただそれだけを願って。

何度転んでも、迷っても今すぐに絶対に行く。

(たとえどんなとてつもない困難が、そこにあっても)




運命に引かれたように出会って。

君と僕はきっと永遠に。

ずっと一緒に……いられるはずなんだ。

だから君だけがここにいないのならば。

(僕は時を越えて会いに行くよ)




もし同じようなことが起こったとしても、
必ず君のことを守ってみせるから……。

ねえ、だから君も。



(僕を信じて?)







君の声が聞こえれば。

まだあまり笑ってくれなかった、無愛想なころの君に対してでも。

今の、明るい笑顔を見せてくれる君に対してでも。

疲れていたって何だって、君の前では笑顔でいたくて。

(笑え、僕)

君にはやく会いたくて。

ああ、もう、君のために笑うから。

僕は何度だって。


世界が明日に終わろうとも。

(君のために生きてるから)










つかめ、君のその手を!

また君の手をつかむから。

君の手を離したりなんてしない。これからはずっと。

なんなら、約束したって構わないんだ。












それで、さいごなんだけど。


僕にこの命が有る限りは



……必ず幸せにしよう。
……何度だっていつだって笑わせよう。




「だから僕に付いてきてほしいんだ」


いいだろう?











告白

(誰でもないあなたから、他の人には絶対言えない溢れんばかりの愛を)












ルサだと言い張る……無理があるならユウハルだと妥協する……。
supercellさんの『告白』という曲を聞いたら思い付いた。
速攻で書いてみた!

……所々おかしいけど笑ってごまかしてくださると嬉しいです。

『僕は時を越えて会いに行くよ』って、セレビィを持ってた彼なら
実現可能じゃね?とかそんなことからルサに決定。
長いキザな告白も、ルビーなら許容範囲かなー、とか思います。
ラストの『いいだろう?』は歌の中でも一番好きなんです!

……というか、ほとんど歌詞そのまんまですみません。

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