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□強がりスノー
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ぴゅーぴゅー、と切な気な音をたてながら雪と共に舞う様子を窓越しに眺めていると、
頬にぷにっ、としたものが当たった。


『?』

半ば分かっていつつも振り向くと、そこにはやっぱりチュチュの姿。


『ねえピカ、どうかしたの?』

「チュチュ、無理に聞いちゃダメだよー」

台所からひょこっ、と顔を覗かせて、家に招き入れてくれたイエローは
チュチュの言葉を遮るかのように口を出した。

分かってるよそれくらい、と彼女は口を尖らせたけど、本当かなあ?


『でさ、ピカ!どうしたの?』

『んー……レッドとケンカ、した』

『ケンカ?』

首をかしげ、レッドさんとピカがケンカするなんて珍しい、と呟かれた。

そうかな?結構するんだけど。


『あーもう、聞いてよチュチュ!レッドがね!』

『うん、何?』

遠くでイエローがかちゃかちゃと音をたてながら、洗いものをしているのが聞こえる。

レッドの悪口(?)をイエローの前で言うのは気が引けるから、好都合!


『熱が出てるのにこのくらいなら大丈夫、なんて言って!
 ブルーとパフェの食べ放題なんかに行くから、悪化してさあ!!』

『………なんていうか、レッドさんとブルーさんって、仲いいね』

『悪友だけどね』

まあそう言わないで、とたしなめられてしまった。

でもだって、レッドがいけないんだよ?


『僕が何度も止めるべきだって忠告したのに、
 「ごめんなー、ピカには食べさせられないんだ」なんて言ってさあ!』

的外れにも程がある、というか。

仕方ないよ、とチュチュは笑った。


『人間(ヒト)に私達の言葉は通じない。ずっと前から、そうでしょう?』

『イエローには分かるじゃん』

『あれは例外だよ』

確か、トキワの森の力、だっけ?

そんなことは分かっているんだけど。

でもどうしてだろう?レッドに僕の気持ちを分かってほしいんだ。

レッドが僕達を心配してくれるのと同じように、僕達もレッドを心配していることを。

分かって―――ほしいと、思ってしまう。


『……ね、ピカ』

刹那の沈黙の後、小さな声で語りかけてくるチュチュ。


『レッドさんのところに、すぐに戻ってあげなよ。
 誠心誠意、心をこめて行動すれば、言葉なんて伝わらなくとも』

レッドさんなら分かってくれるよ、と続けるチュチュ。

知ってるよ、分かってるよそんなこと。

だって僕の、僕らのパートナーだし。

だけど不安なんだ……レッドに分かってもらえなくなるんじゃないか、って。


『でも、』

言いかけた言葉を飲み込んだ。

チュチュはいつもイエローに気持ちを分かってもらえて、僕の悩みなんて分からないだろう。

でも。


『―――うん、帰るよ』

いつまでも意地を張っていたって仕方ないしね。

どうせレッドは僕が一方的に怒って出ていったと思ってるだろうけど。


『僕だって……子供じゃないから。僕から謝ってみるよ』

『うん。いってらっしゃい』

『ありがと、チュチュ!』

手を振って見送ってくれるチュチュに軽く手を振り返して、扉をあけて、雪降る外へと飛び出した。

ぶるっ、と一度身震いをしてから、レッドの元へと走る。

少し以上に寒いけど、レッドの所に帰るんだと思えば和らぐような、そんな気がして。

ねえ待っててね、レッド。

僕が看病してあげるから、無茶しないでよね!



強がりスノー

(僕の気持ち、頑張って伝えるから)

(僕らはレッドが大好きだから)

(無茶ばかり、しないで?)












ピカとチュチュの会話をリクエストしていただきました!
なんかレッドさんとピカのケンカがメインみたいになっちゃって、ごめんなさい。

リクエストありがとうございました!

(ピカの一人称が“僕”なのは完全に私の好みですね……すみません)

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