pkmn

□あなただから
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そういえば数週間前、グリーンさんから連絡があった。


『すまない、誕生日に他の地方の図鑑所有者を呼ばないことにしたいのだが、いいか?』

「全然いいですよ!祝ってもらえるだけで嬉しいですし」

『本当にすまない……レッドとブルーは何を考えているんだか』

ははは、と僕は笑うことしかできない。

グリーンさん、大変そうですね……。


『当日は16時にレッドが家に迎えに行く予定だ、待機していてくれ』

「分かりました。わざわざありがとうございます」

ポケギア越しだけど礼をしてしまった。

チュチュに笑われちゃって、かなり恥ずかしかったなあ。



っと、もうそろそろかな?

僕はさっきからだけど、一段とそわそわしてしまう。

誕生日会。

しかも、何やら壮大なスケールらしい。

楽しみに決まってる!どうしよう!

思いの行き場が無くて、とりあえず立ち上がり、リビングから玄関までの間を往復する。

そわわそわ、そわわそわ。

落ち着きがないなんて、言われたって仕方ないよな……。

ピンポーン!

待ちわびた来訪を告げる呼鈴に背筋がぞわっ、とした。


「はい!」

がちゃ、と扉を開ければ。


「お誕生日おめでとう、イエロー!」

「ありがとうございます!」

「これ、俺からのプレゼントな!誕生会の会場、びっくりするような所なんだぜ!」

紙袋を雑に手渡されてから、まくしたてるように言われる。


「グリーンから貸してもらったから、行こう!」

いつもよりも数倍早い動きに追い付いていけない。

まだ沈んでいない太陽光に照らされたレッドさんは、何だか照れているようで。

ああ、プレゼントを僕に手渡すのが気恥ずかしかったのだろう。

グリーンさんから借りたと言うリザードンの背に乗って、僕に手をさしのべてくれる。

……その行為の方が、よっぽどキザですよ?

なんて、きっとレッドさんに言ったらしてくれなくなるだろうから、黙っておいた。






「どこに向かっているんですか?」

「イエローも絶対知ってる所。カントーに住む人なら、誰もが行ったことがあると思うぜ」

今日はそこを貸しきりにして誕生会をするんだ!

嬉しそうに言ってくれるから、僕も幸せで、ついつられて笑ってしまう。

けれど、一体どこが会場なのかは、僕には全く分からなかった。




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