pkmn

□とある理系女子たちの会話
1ページ/3ページ




それは風のない、穏やかな春の日のこと。

暇だ、よし、グリーンに会いに行こう。

唐突にそう思い付いたブルーはすくっ、と立ち上がる。

とはいえ、さすがに手土産無しで行くのも気が引ける。


「バームクーヘンとか、そういうの無いかしら」

ジムトレーナーさんにもあげられるようなお菓子を見繕いたくて、台所を探る。

だけど家中探してもポテチしか見つからなかった。

お徳用150g増量パック。

冗談にしか思えないけど、仕方無いからそれをビニール袋に入れた。

無いより、マシよね。

……のに。


「え、マジなの?」

「嘘を言う必要性無いだろ」

せっかくお土産まで持ってジムに行ったのに、グリーンは
ジムから出てきたと思ったら(挑戦者以外には入れてもらえない)、
おじいちゃんの所に出掛けなければならない、とか何とか。

わざわざ来なくともよかったってことかしら。


「私も着いて行くわ」

「戻ることになるだろ、いいのか?」

「あんたに会いに来たんだもの、ノープロブレムよ」

ルビーならこんな時も発音よく言えるんだろうな、なんてどうでもいいことを思う。


「その代わり、用が済んだら構ってよね」

「…………」

「ちょっと、返事は!?」

それなりにな、という困った声が笑えた。

それなりって何よ、まったく。






オーキド博士の研究所にだって、リザードンの背に乗れば数分で着く。

歩いたって着くのが早い距離だけど、グリーンは何やら急いでるみたいだった。

何のようなのかしらね、そんなに忙しくすると体調を崩しそうだから、私としては
のんびりしていてほしいんだけど。

ジムリーダーって多忙なのね。


「お久しぶりです、ブルー先輩」

珍しいですね、なんて言いながら落ち着いた様子で表れるクリス。

そういえばクリスはここで働いてるんだっけ。

久しぶりね、と笑えばクリスは可愛らしく笑った。


「グリーン先輩に、着いてきたんですか?」

「ご名答。仲間外れにされちゃってるけどね」

「そんなことないですよ、グリーンさんってブルーさんのことを、よく見てるじゃないですか」

あら、そうなのかしら?

自分では全然気付かなかったわ、と言えばクリスは楽しそうに続ける。


「みんなで時々集まったり、するじゃないですか。
 いつも見ると、グリーンさんはブルーさんを見てましたよ。
 あっ、ブルーさんもグリーンさんを見てること、多かったですよね」

「クリスは回りをよく見てるわね」

感嘆するやら恥ずかしいやら。

後輩にバレてるって、どうなのかしらね。




次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ