pkmn

□気になるカーブ
2ページ/3ページ




それはこっちのセリフだっての!といつものようにわめけば、
ニヤついていたリア充二人は一層ニヤつきに磨きをかけた。


「先に言ったのはこっちやけん、ラルドからば言うのが道理ったい」

「ゔ……別に、パン見てただけだ!」

悪いかよ、と言えば、別に?と返してくるけれど。

なら何でニヤついたままなんだよ。


「クロワッサンなんち見つめて……そっくりったい!!」

「んなあっ!?」

ニヤつきの原因はそれかよバカップル!!

驚きつつもムカついて、何だよという言葉にもトゲが出る。

見られたくなかった、こんなシチュエーション。

こんなところになんて、来てほしくなかった。

(お前らの前では強気でいたいんだよ、ばーか)


「買わないのかい?」

「買わねえよ!買うならとっくに」

自嘲が交じるのは。


「……買ってる、っての」

俺には止められなかった。

ふうん、と分かったような分からないような煮えきらない返答をよこして。

まだ笑っていたサファイアをさすがに笑いすぎだよ、たしなめる。


「なら、僕たちはパン屋に入ろうと思うんだけど」

エメラルドも一緒にどう?なんて言われれば。

俺は揺らいでしまう。

無意識に縦に降り下ろしていた俺の反応を見て、半ば強引にサファイアに体を引っ張られた。







「いいにおいーっ!うわあっ、美味しそうったい……!」

歓声をあげてパンを真剣な面持ちで選び出すサファイア。

突然離された手に戸惑いつつも俺もパン屋をぐるり、と見渡した。


「クロワッサン、買おうか?」

「いーよ別に!!」

いいって言うのに、落ち着きなよ、何て無駄に落ち着き払ってルビーはトレーにクロワッサンを加える。


「エメラルドはクロワッサンが好きなのかい?意外だなあ」

「意外か?何で」

「頭が似てるから毛嫌いしてるイメージがあったよ」

「……覚悟してろよ」

いつか絶対ルビーより強くなってこてんぱんにしてやる。

こてんぱんって古い?

でもこの間ルビーに返り討ちにされたのは記憶に新しい。

ジムリーダーの息子とか聞いてないんだけど?

何それセコくないか?

でも俺が勝ってやるけどな!

目下の予定を心に刻んでルビーを睨むと、軽やかに友好的な笑みを返される。

何だかんだでルビーは食えない奴だと思う。

何考えているのかとか、イマイチ分からないし。


「メロンパンとあんぱんとチキンサンドとシナモンロールと
 ツナサンドとバゲットと、それからえーっと……ルビー、あたし何を言ってなか?」

「季節のフルーツタルトとよもぎあんぱんと桜あんぱんとフランスパンと
 食パンとソーセージパンくらいじゃないかな?」

「よし2人とも、とりあえず落ち着け」

買い占める気かよ、サファイアをなだめてグッと数を減らしたけれどそれでも
両手いっぱいにパンを抱えてパン屋を出た。




次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ