pkmn

□はらり、ひらり、桜。
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朝ご飯を食べて、べーやるーにもプレゼントを見せた。

部屋にはみんな入りきらないから庭で、ベンチの上にドームを置いて鑑賞会。

太陽の光が暖かく降り注いで、より春らしさが増したように思えた。

っと、電話するつもりだったのを忘れてたや。

我ながら少しバツが悪くて頭を掻いてしまう。

お嬢様本人がいるわけじゃないけど誤魔化してしまう
……お礼が遅くなるのは、自分でも致命的な失態だと思うから。


「みんな、こわさないようにね〜」

何とはなしに庭から部屋に戻った。

最近会ったりもしていないし、ちょっとだけ緊張するような気もした。


「よ〜し、かけよう!」

ぐっ、と手をぐーにして意気込んで、ポケッチのボタンを押そうとした時。


「ダイヤ!いや、ダイヤモンド!お誕生日おめでとうー!」

窓の外からパールの大きな声が聞こえた。

さっきからお嬢様に電話をかけようとする度に大きな声に遮られているや……
一旦電話を諦めて窓を開いた。


「あれ、お嬢様も一緒に来たの?」

「だ、ダメでしたか……?」

全然ダメなことなんかないんだけど、勝手に忙しいんだと決めつけていたから
びっくりしてしまった。


「ダイヤ、俺を無視すんなっての!」

「ごめんね〜、ありがとう〜、パール」

「へへっ!プレゼント持ってきたんだぜ!」

お嬢様に声をかける間もなくパールが口をとがらせた。

無視したつもりはないんだよ?
ただ、お嬢様がいたのがびっくりで。

言うわけにもいかないから、適当に話を切り上げた。


「入ってきなよ〜、オイラも下に行くから」

「おうー、元からそのつもりだ!」

急いで階段を下りると、お母さんに転んだらどうするの危ないわよ、と怒られてしまった。

素直にごめんなさい、と謝りつつも玄関に走る。


「よっ!改めて誕生日おめでとな、ダイヤ」

「ありがと〜。あれ、お嬢様は?」

「庭の方に行ったぞ、べーたちがいたろ、久しぶりに会いたいです、ってさ」

「そっか〜、パール、悪いけど待っててくれない?オイラも行ってくる」

プレゼントだろう小さな箱を持つパールに言うと、刹那悲しそうな顔をした。


「……パール?」

「ん、どうした?早く行ってやれよ」

「うん……す、すぐ戻るからね〜」

首をかしげつつも走り去るダイヤ。

曲がり角を曲がった所でパールはため息をついた。


「無自覚って怖いよな、2人きりになることを、さりげなくやってのけるんだから」

去った親友がいるであろう方向を見て。

幸せを願う。


「どうせだし、誕生日に両想いになっちゃえよ、2人とも!」

ダイヤのお母さんもいなくて、誰にも届くことのない言葉だったが、
パールは晴れ晴れとした表情を浮かべていた。
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