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□意地っ張り
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※学パロ
「ルビー!一緒に行きたい所があるち、行くったい!」
「ちょっとサファイア、急に勝手に決めすぎじゃないかな」
先生同士で会議があるらしく授業は午前だけで終了し、
帰って昼食を取ろうと廊下を歩いていたら。
いつも通り唐突な彼女にあきれつつも安心して、どっちともつかないけれど息がもれでた。
明るい彼女は僕の腕をつかんで反論なんて聞かず、ずんずん先に歩いていく。
まあ僕だって付いていくに決まってるから、反論なんてうわべだけのものに過ぎないのだし、別段支障は無いのだけれど。
「どこに行く気か、せめて教えてくれないかな」
「天国ったい!」
「…………ちょっと待って、本気でどこに連れて行く気?」
無邪気な笑顔で言われても、怖いだけだった。
天国って……え、僕死ぬの?
そんなことさすがに無いだろうけれど、やはり気にはなる。
「ちょ、サファイア、質問に答えてよ」
「ナイショ♪」
この所、退屈続きだったからか、返ってきたサファイアの声は何だかとても弾んで聞こえた。
***
「ここ!」
満面の笑みを見せるサファイア。
電車に揺られておよそ30分、連れて来られたのは何とも意外、デパ地下なる場所である。
失礼だけど、サファイアは自然が大好きだと豪語しているし勝手に町中なんて嫌いだと思っていた。
「なんね、反応ないち、字読めんと?」
「いや、字は読めるよ……読める、けど」
ピンクと白で統一された乙女乙女しい場所だ。
可愛らしく、控えめな看板には「デザート・パラダイス」と書かれている。
見ると、制限時間内なら室内に用意されたデザート、スイーツをどれだけ食べてもいいんだとか。
バイキングとかビュッフェみたいなものだろう。
なるほど、天国ね……甘いもの好きな彼女にとって、確かにここは天国なのかもしれない。
「ここに僕と、入れと?」
「何ね、文句でもあると?」
大有りだよ!!
思わず出かけた言葉を飲み下して深呼吸。
この可愛らしい空間に、仮にも男の僕が踏み入れるのだ。
躊躇する気持ちもわかってもらえないかな?
店内は女子高生やOLさんであふれかえっている、男の姿?無いけど何か?
「そんなに行きたいなら、サファイア一人で行けばいいじゃないか」
「ルビーと一緒に来たかっち……そんなイヤ?」
イヤなら帰る、と瞳を潤ませて言われる。
僕と来たかった、ね……ずいぶん可愛いことを言ってくれるなあ、まったく。
イヤなわけないじゃない、そのくらいの躊躇、何のその!
「サファイア、行こう?」
「うん!」
今日一番の輝かんばかりの笑みを浮かべ、彼女は僕の手を取って、店内に足を踏み入れた。