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「現実は厳しく、辛いものですが、同時に必ず、楽しいこともあるのだと、私は実感しました」
「はい」
「クリスさんも、修行頑張ってください。また、縁が合ったら、会いましょう」
では、と自然な動作で頭を下げ、高度を下げていくプラチナさん。
彼女の黒髪が、風でふわりとたなびいた。
「何だか……ミカンさんみたいな人、だったかも」
『ミカンさんとは違うでしょ、それよりクリス、見た?あのリス!』
「ああ、……珍しい毛色をしてたわよね」
『僕、あいつ嫌いだな。僕が挨拶したのに、無視したんだよ!?べーっ!』
鳥とリスだから、仕方ないんじゃないかしら?
ネイぴょんの機嫌がますます斜めになりそうだったから、思ったことに口をつぐんで飲み込んで。
澄みきった、綺麗な夜の空気を思い切り吸い込んだ。
「大分遠くまで来たわね……」
『そうだね、森が途切れ始めてる』
「そろそろ、宿を探しましょうか」
『頑張ってねー』
気のない返事にテンションが下がるのを感じたけど、もう何も言うまい。
ゆっくりと高度を下げた。
***
駅近くの宿屋に入る頃には、外は分厚い雲が覆い、ゴロゴロと不気味に音が鳴り響いていた。
『天気予報、外れたね』
「ね、野宿じゃなくてよかったでしょ」
まずは部屋が空いているか聞くと、お腹回りが充実した風貌のおかみさんは、困ったように笑った。
「残念だけど、もう部屋は一杯でね。悪いけど別の宿を当たってもらえないかね?」
「えっ、そんな!階段下の物置とかでも構わないんです、どうかお願いします!泊めてください!」
そんなこと言われてもね、何て言葉に目の前が真っ暗になったように錯覚しかける。
プラチナさん、現実の厳しさをすぐに体感してしまいました。
「お願いします、何とかなりませんか?」
「しつこいよ、ここは一杯なんだ。お嬢さん、おうちにお帰りなさい」
「…………」
ホウキを持っているのに、家出少女か何かだと思われているのだろうか?
「お願いします……」
面倒なやつだ、と顔にかかれているかのようなおかみさん。
渋い顔で、私を見てる。
もう諦めて、別の宿を探すにも、宿は近くに無さそうだし……雨の中、飛ぶしかないかな?
途方にくれかけたとき。
「あの、すみません、ボクの部屋でよければ、一緒に使いませんか?」
金髪の少女に話しかけられた。
最初の晩
(待ち受けるは幸か、不幸か)