pkmn
□お、お前、近すぎ!
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ザーザー雨が、降っている。
この間の、『俺、軟弱者?疑惑』が消し去れたか不安な今日この頃。
いつものように授業が終わった瞬間から、机に突っ伏していると。
「おい、ゴールド」
「……………………。」
「明日、俺は諸事情により学校を休むんだが」
「……………。」
「代わりに委員長会に、出席してくれないか?」
「何でだよ!?」
っていうか、頼むから俺を寝かせてくれ、シルバー。
意味の分からない用件を押し付けないでくれ。
「すまん……明日はどうしても休まなければならなくて……。代わりに行ってくれないか?」
「……ちなみに聞くけど、『どうしても休まなければならない用事』って何だ?」
「お前、聞きにくいことを聞くな」
「ったりめーだ、身代わり引き受けるかどうかだぜ?理由聞かなきゃ代われるかも判断しかねるっての」
睡眠をあきらめて、シルバーと話すことに本腰をいれて話す。
実は真面目なシルさんが休むなんざ、正直あまりないことだ。
予習、復習を忘れて毎度立たされる俺とは正反対だ……それはさておき。
「で?何で休むんだ?」
「父さんが……明日なら、休めるみたいなんだ」
「あー、あの多忙すぎるお前の父さん?」
IT関連の仕事をしているらしいシルバーの親父さんは、かなりの重役らしくて1ヶ月に3日も休みがないらしい。
労働組合とかに訴えたら勝てるレベルの働きっぷりだと思う。
「明日は母さんの……命日だから」
「マジか……」
「それで、どっちにしろ墓参りに行こうと思ってたから……休む予定だった。
委員長会、代わってくれないか?」
重い話だった。
やっぱりな、予想できてはいたが、ここまでとは。
「分かったよ、代わってやる。けど、シルバーは副委員長だろ?
委員長会なんかに出席して、何するんだ?」
「委員長会で決まったことのメモとか、だな。
委員長達がそれぞれ意見をぶつけ合って、それなりに白熱した討論をするから面白いぞ」
「……この学校の委員長は全員おかしい奴らばかりなのか?」
「そんなことないだろ、普通だ」
しれっと言われた。
俺は委員長やら副委員長やらになったことが無いから分からないが、そういうものなのだろうか。
シルバーも何気に2、3回はやってるし、クリスなんかは毎年やってるんじゃないか?
すげえな……頭おかしいんじゃねーの?
「今度、何かおごれよ!そしたら貸し借りナシな」
「分かった。それと、ゴールド」
「何だよ、まだ何かあんのか?」
不貞腐れた態度をとって、発言を待つ。
でもシルバーって、俺なんかよりよっぽどキツい半生歩んできてるしな……断れるわけ、ないんだけど。
おごるおごらないも、俺は別に気にしないが、シルバーが気にするから。
「…………ありがと、な」
「!」
ツンデレの代名詞と言われた中学時代にはあり得なかったろう、シルバーからの礼。
授業開始のベルが鳴って、顔を反らされてしまったけれど。
あいつ絶対、赤くなってたな。
あいつの進歩が微笑ましかった。