pkmn

□お、お前、近すぎ!
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「レッド先輩ー」


「ミカン先輩、いらっしゃいますか?」

昼休み、ソッコー昼飯食ってクリスに行こうぜ、と言ったら怒鳴られた。

そんなに早く食べられないわよ、それに今から行ったって失礼でしょう!?だってさ。

正論過ぎてなにも言い返せなかった。


「ゴールドじゃん。クリスも。どうしたんだ?」

「いや、クリスは別件ッスよ。先輩、今日は俺、部活を休ませてもらいますっ!」

「急だな、また何かしでかしたのか?」

「違いますよ、シルバーが今、副委員長なんスけど、今日は休みなんで。代役を頼まれたんです」

「うわ、委員長会とか……大変だな。ガンバレ!」

普通に励まされてしまった。


「つーわけで、休みます」

「了解!」

「あの、レッド先輩!」

会話が一段落した所で、所在なさ気にキョロキョロ辺りを見ていたクリスが介入してきた。


「ミカン先輩、いませんか?」

「そういえばアンズとハヤトに引きずられて、連れ去られていたなあ。屋上じゃないか?」

「そうですか……」

ミカン先輩達は何をしていて、屋上にいると思われているんだろう。

そこが気になるのは俺だけだろうか?


「でしたらレッド先輩、ミカン先輩にこれを渡してもらってもいいですか?」

「いいぜ、そのくらい」

「ありがとうございます!」

メモを渡すクリスは、何でか普通のギャル……つーか可愛い女子、に見えた。

真面目で、堅物でも。

可愛いんだな、と遠くでぼんやり思った。

って、帰りが気まずくなるからそういうの考えたくねえんだけど!

ああもう!

クリスがレッド先輩と話を終わらせる前に帰りだす。

ちょっと、待ってよゴールド!

俺の名を呼んで、小走りで駆けてくれるのが少しだけ、嬉しかった。


「勝手に行かないでよ、もう。一緒に来たんだから帰りも一緒に帰りましょうよ」

「………っぶ、ぶはははは!!」

「んなっ!?何よ!?」

クリスがあんまりにもおもしろいから、笑えてしまった。


「廊下を走るのは、いけないことだよな?」

「っう、ゴールドが勝手に行くからっ」

「でも正論を語るんだよな、クリスは」

「〜〜〜〜っ!!」

涙目になっていた。

さすがに意地悪な、あげあしをとるような、からかい方をしすぎたな。

我ながらちょっとだけ反省する。


「ま、置いてった俺も俺で、悪いんだけどな」

「そっ……そうよ!ゴールドのバカっ!」

「んだと真面目、堅物、冷徹、冷酷な委員長っ!」

「私、別に堅物でも冷徹でも、冷酷でも無いわよ!」

「真面目なのは否定しないんだな」

「ゴールドよりはよっぽど真面目なつもりよ!」

五月蝿い!と、どこの誰とも知れぬ奴に注意されて、一気に熱が冷める。


「……おあいこ、ってことでどうだ?」

「そんなの許さないわ」

プイッとあらぬ方を向いて拗ねる様子に、案外幼い所があるんだな、と長い付き合いの中で初めて知った。
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