pkmn

□ラムネ
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空を飛んできておいて、道が混むも何もないだろう。

ジョークのつもりなのかな?

よく分かんない……。


「あれ?つか先輩、どうしたんスか」

私を前にショボくれる先輩に、ゴーグルをとってようやく気づいたらしい。

「ゴールド!」

「わっ、何だよクリス!?」

詰めよって怒りをぶつける!

何にも教えてくれないし、遅れてくるし、ひどいわ!


「レッド先輩がいるなんて聞いてないし、そもそも今日、何するか知らないし!
 どうせイタズラなんだろうけど、とりあえずは内容を教えなさいよね!

 しかも私に来るように言っておきながら遅れるなんて言語両断!
 もうっ、私、怒ってるんだからね!」

一気にまくしたてると、何だか怒りより虚しくなった。

何だろうか、この無意味なことした感じは。


「おう…………ごめん」

素直に謝ってくれた。

でも、謝罪が欲しくて言ったわけじゃないんだけど。


「今日は、みどりの日だろ?」

「そうね、知ってるわ」

何が楽しいのやら、笑みを浮かべるゴールドに、不覚にもちょっとドキッとした。

もう、私のバカ!

さっきまでゴールドに対して、あんなに怒ってたじゃないの!


「実はな、知らないと思うけど、今日ってラムネの日でもあるんだぜ!」

「へー、そうだったんだ」

それは知らなかった、でもグリーン先輩にラムネをプレゼントしに行く、ってわけじゃあ……
ないだろうしなあ。


「グリーン先輩に何をするの?」

「あ、グリーン先輩だって所はもうバレてんのか。
 そんな怖い顔すんなって、ただ―――」

私の後ろを見透かしたように、別にレッドさんがそこにいただけなんだろうけど、
子供みたいに笑った。


「ラムネを渡しに行くだけ、だっての!」

そうですよねー、先輩!と顔を見合せあって、笑う2人。

もう、何よ、絶対に違うフラグがたってるじゃないの。

男の子って、どうしてそんな下らないことを思い付いて、
年の差関係なく笑いあえるんだろう。

……ちょこっとだけ、うらやましい気がした。

私はそんな風に笑いあえる気がしないもの。


「―――その言い方が一番、怪しいわよ!!」

先に歩き出す2人に、遅いツッコミを入れて追いかけた。
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