激撮！少年少女の長い旅。
□撮影開始！
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Side/A
春先。
現在、ポケモンセンター前。
見事幸か不幸か、テレビ出演はあっさりと決まったようだ。
テレビコトブキからの連絡があり、
ポケモンセンターの前で待ち合わせを申し込まれた。
いや、それはいいんだけど
両親とは詳しい話をしたらしいが、わたしには何の連絡もなかった。
今日旅立つらしいのに。
撮影始めらしいのに。
どうしてだ。
「オレンジ=ローク=ガレロスさんですね」
「はい」
そんなことをつらつらと考えていると。
中年の、何やら専用の器具をを持った男の人に尋ねられた。
「テレビコトブキの者です。今回はご応募、ありがとうございます」
「いえ……選んでいただけて、光栄です」
社交辞令を終えると、男の人は、ルースと名乗った。
「これからオレンジさんには、俺が専属として付いて撮影をすることになります。
よろしくお願いしますね」
人の良さそうな笑顔で握手を求めてくるルースさん。
撮影はジム戦以外は行わないという言葉を、疑いたくなるほどのいい笑顔だ。
いや人を疑うのはよくない。
ルースさんは、こんなにもいい人そうじゃあないか。
「こちらこそ、よろしくお願いします！ルースさん！」
握手をした時に、カメラのレンズが煌めいて見えた。
＊＊＊
『こうしてカメラマンは旅をすることになるオレンジちゃんと無事、
知り合うことができました！
……おっと、これからの撮影が隠し撮りで行われることもありますが、
オレンジちゃんのご両親も承諾済みです。
みなさん、旅先で出会っても、隠し撮りのことは……言わないでくださいね？』
撮影は、開始された―――！