激撮!少年少女の長い旅。

□勘違って!バトルして!
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あれはきっと、ポケモンの鳴き声だ!

だけど一体、どんなポケモンだろう。


「あ、そうだ!」

こんな時こそナナカマド博士からいただいた
―――わたし的にはカメラマンさんからいただいた―――
あのハイテク機器の出番のはず!

クサキがいるのと反対側のポケットからゲーム機のような機械を取り出す。

じゃ、じゃーんっ!“ポケモン図鑑”!

ちなみにわたしのは橙色だ。

他の人たちは何色なんだろう?


『ヤミッ、ヤミィッ!』

苦しげな声はまだ続いている。

切れ切れにだけど聞こえてくる声は、
ここがロストタワーだということを差し置いても怖い。

鳴き声だけでポケモン図鑑から情報を知りえるかはわからない。

けど、実際に2階に行くのも怖い。

2階からは野生のポケモンが出てくるし、したがってポケモントレーナーもいるみたいだし。

迷っていても仕方ない、ポケモン図鑑を開くと、
ポケモンセンターの壁紙が画面いっぱいに表示される。


『ヤミィィィィッ!!』

ナイスタイミング、ポケモンの鳴き声にポケモン図鑑が反応した。

画面は淡い水色に変わり、中央では『検索中』という文字がくるくる回る
モンスターボールのアニメと共に点滅している。

なんて便利な道具だろう、鳴き声だけでもポケモンが特定できるんだ。


「えっと……検索結果1件、『ヤミカラス』……?」

黒色の鳥ポケモンが表示されると、ポケモン図鑑はひとりでに話し出した。


『ヤミカラス、くらやみポケモン。
 夜にその姿を見かけると、不吉な出来事が起きると信じられている。
 深い森へ誘い込もうと、旅人の近くに集まる。不幸を運ぶといわれている』

説明文の自動読み出し機能。

ナナカマド博士ってやっぱりすごすぎる。

下画面には『音量調節』『音声停止』『メニューに戻る』『詳しく見る』の4つが選択できるようになっていた。

タッチパネル式で使いやすそうだ。

……ポケモン図鑑の使い方だけで、新聞の一面が埋められそう。

そんなことが頭をよぎるけど、今はヤミカラスを助けなきゃ!

なんだかとっても苦しそうな鳴き声は、まだ途切れつつ響いてくる。
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