激撮!少年少女の長い旅。

□観光*バトル*苛立ち
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Side/C



「っく……」

押されている現状に苦戦しているのはモロバレだろう。

最初のジム戦ということで警戒してレベル上げも行ったのに。

……これが、ジムリーダー。


「簡単には負けないよ!」

言われる言葉にかるく苛立ちを覚えた。

そんなの、誰だって、トレーナーなら同じだろ?


「―――こっちこそ」

そうでなくっちゃ、と言いたげに笑うとジムリーダーはとっしんを命令した。


「ちっ……」

このままでは負ける、それも確実に。

こてんぱんにされてしまうだろう。


「どうして……」

勝ち目が無いわけではないであろうこの勝負、どうしてこうなったのか。

そもそもの話は、数時間前に遡る。


◇◆◇◆◇


「着いた!」

ここはクロガネシティ、エネルギーみなぎる場所。


『ひこぉー!』

ボールの中から喜声をあげるヒコザル。

当初オドオドしっぱなしのヒコザルだったが、一緒に旅をするうちになんとか仲良くなれた。

きのみをあげた時に、遠慮がちに半分差し出してくれたときはかなりヤバかった。

(めっちゃ可愛いぞヒコザル!!)

この時初めて兄の言っていた『懐いてくれた時の喜び』を理解できた。

兄ちゃんが最初のポケモンであるビッパ(今ではビーダル)への可愛さを語ってきたときは
兄はいよいよ堕ちるところまで堕ちたのか、と思ったのだが。

うわあ、くそっ、理解できてしまった。

何はともあれ、俺達はクロガネシティに到着した。

真っ先にポケモンセンターに向かい回復してもらう。

待ち時間は当然のように、他の人と同じように2階で待機。


「あれ、もしかしてパープルくん?」

2階に上がったとたんに話しかけられた。

もうテレビの影響が出たのだろうか。俺は普通に旅をしたかったのに……。

父さんを軽く恨みながら肯定を返すと、少女は跳ねた。

TPOをわきまえてほしい。ポケモンセンターでジャンプとか、ダメです。


「ジムに挑戦するんですよね?
 敵を知らなくてはジム戦なんて勝てません!どうです、一緒にクロガネ炭鉱に行きませんか?」

「え?」

炭鉱になんて行ってどうするんだ。

なんでこの女の子はこんなにグイグイくるんだ。


「それは了解ですね!分かりました、レッツゴーです!」

「ええっ!?」

俺は何も理解できていないのに少女は俺の腕をつかんで歩き出す。

ドキッとしたけれど、きっとテレビの宣伝効果を期待しての行為なのだろう。

残念な気もしつつ引っ張られていたが、ポケモンセンターを出る直前に気付いた。


「俺のポケモン……」
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