激撮!少年少女の長い旅。

□観光*バトル*苛立ち
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少女をなんとか引き留めてポケモンをジョーイさんから受け取った。

その間にも少女との間に色々あったが、俺が思い出したくもないためカット。


「ここがクロガネ炭鉱なんですよ。探検セット持ってますか?」

「探検セット……?」

炭鉱に来てまで探検する意味はなんだ、と思いながら首を傾げると
少女は残念そうな顔をした。


「なんだー、持ってない感じですか。まあいいですけど。
 ……あ、そっか。私のを貸します。一緒に行きましょう」

コロコロと表情を変える少女だ。

笑顔になったかと思うと、ズンズン炭鉱の奥に入っていく。


「化石を掘りましょう!クロガネジムのジムリーダー、ヒョウタさんは
 化石掘りが趣味なんです。はい、道具、お貸しするんで」

小さいハンマーと大きいハンマーのようなものを笑顔で手渡す少女。

物騒な物を持って笑顔にならないでほしい、怖いから。


「……ここです。土が盛り上がっている部分にガツンと一発!」

ストレスが溜まっている人にオススメだな、なんて思いながらハンマーを一振り。


  ガツン!



「った〜〜……」

痺れるような痛みが腕から全身に伝わる。

痛みに悶える俺を冷たく見下ろし、少女は言いはなった。


「そんなに痛いですか?……日頃の運動不足がたたったんじゃねーの?(笑)

「…………」

小さい声で罵倒してきた!?

高性能なマイクの前ではそんな小声は拾い取れただろうか?

全国のお子さまの教育上宜しくないと思うから、拾い取れていないことを祈る。


「………っ!」

もう一回振り下ろすものの、やはり全身に痛みが巡る。

やっと化石を堀当てることができたのは、それから数十分が経過した後だった。


「うわー、これは、“ずがいのカセキ”ですね!」

先程の罵倒からは想像もできない可愛らしい高い声だ。

すごいです、と少女に言われて悪い気はしないが、お世辞だろうと考えると悲しい。


「化石はクロガネ博物館で復元してもらえるんですよ!」

さ、行きましょう!と俺の腕を再び掴み、クロガネ博物館に向かう少女。

クロガネシティの観光をしに来たわけじゃないのにな、俺。

やはり父さんの笑顔を思い返して不機嫌そうな顔になるパープル。

再会したら怒鳴ってやろう、と決めたのはここだけの話。


◇◆◇◆◇


ジムの横を通り過ぎる時に、また悲しくなってしまった。

何で遠ざかってるんだろう、俺。

館内は綺麗で、化石などが展示されていたが、生憎俺は化石に興味はない。


「こんにちは!復元してもらえませんか?」

慣れた様子で一番奥にいるおじさんに頼む少女。


「ああ、復元までには時間がかかるから、それまで待っていてくれ」

そんな言葉が聞こえた気がしたが、俺は上の空だった。


「ヒコザル……俺、ここから出る方法が知りたい」

『ひこぉー……』

気弱なヒコザルの性格が移ったかもしれない。



仕方無いのにヒコザルにそんなことを言って、俺は隅で不貞腐れていた。

誰か助けてくれ。
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