激撮!少年少女の長い旅。
□観光*バトル*苛立ち
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当然のように少女に腕を掴まれて、館内を巡らされた。
化石を見ても何も感じなかったが、少女がすごい目で睨んできたため、
1つの化石につき3つはコメントをした。
(『植物なのか生物なのか、判断しがたいね』『これは口かな』『ロマンを感じるね』etc)
俺って思ってもいないことをこんなにもスラスラ言えるのか、と自分自身に感動したが、
どうして目が死んでいるんですか、と少女につっこまれた時は戦慄した。
目が死んでる自覚なんてあるか(思い当たる原因は明白だけど)。
「あ、おじさんが手を振ってる!復元が終わったみたいですね」
少女の言葉に、作り笑いを崩してホッとした。
やっと終わった……にしても、何でおじさんはそんなにフレンドリーなの。
「はい、“ズガイドス”だよ」
「ありがとうございます」
俺はなし崩し的にズガイドス(♂)を手持ちに加えた。
ニックネームは……ヒコザルにもつけてないし、まあそのままでいっか。
「じゃあジム戦、頑張ってくださいね!またクロガネシティに来て、
色々な場所に行ってみてください!まだまだ沢山楽しい所がありますから!」
これで自分の役目は終わりだ、とでも言うかのように笑顔で去る少女。
結局最後まで名乗らなかったし。
ちゃっかりまた町の宣伝してるし。
行き場のないイライラをかかえたままだったけれど、俺はクロガネジムの扉を叩いた。
「えっと、たのもー……?」
ぎぎぎー、と音をたてながら扉を開けたはいいものの、何と言っていいのか分からなかった。
たのもー、でいいのか?
「うわあ……」
ジム内部はなんと言うか、想像していたものと違った。
もっと内装とか手が込んでいるかと思ったけど……シンプルだな、うん。
ここだけなのかもしれないけど。
「よく来たね!」
部屋の奥、中心部に俺と向かい合うように立つ、男。
この人がクロガネジムのジムリーダー、ヒョウタ。
確か「ザ・ロック」という異名を持つ、と雑誌に書いてあった。
「ボクはクロガネジム、ジムリーダーのヒョウタ!ジム戦をしに来たんだよね?」
何故確認するんだろう、俺『たのもー』って言ったし、確実にジム戦しに来た人だよ?
「俺はパープル=ミラルナ=カマヘフです」
名乗ると、審判は頷いた。
「使用ポケモンは3体、1VS1のシングルバトル、回復道具の使用有り」
続けて審判はルールの説明をしはじめる。
……やべえ、緊張してきた。
「それでは、初め!」
俺の人生初のジム戦が今、始まった。