激撮!少年少女の長い旅。
□溶かされた氷
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Side/A
「ふー、長かった……!」
霧のたちこめる210番道路を通過して、わたしはカンナギタウンにやっと到着した。
長かった……トレーナーさんたち多いし!
でもお陰で(?)クサキとユウヤミのレベルが上がった。
「すぐポケモンセンターに行くからね、クサキ、ユウヤミ!」
「えるぅっ!」
「やっみぃ!」
2匹の元気な声に、思わず笑みがこぼれる。
現在クサキはLv.15、ユウヤミもLv.15だ。かなりの進歩だよね!
トレーナーさんたちとバトルして傷付いたから、宣言通りポケモンセンターに急いだ。
◇◆◇◆◇
「ユウヤミはやっぱり色違いなんだねー」
いじっていた図鑑をポケットにしまい、ポケモンセンターをでると、
ポケモンセンターの壁に立て掛けるかのように自転車が置いてあるのが確認できた。
「うわ、錆びてる……」
あれ、よく見ると名前がきちんと書いてある。
「Navy=……Treequ……?」
ネイビー=ツリーク。
確かにそう読めた。でも名前も書いてある自転車が、何故放置されている?
「ああ、それか」
唐突に、老婆に話しかけられた。
驚きのあまり自転車から距離をとり、後退りするオレンジ。
「この自転車の持ち主はどこにいるのか行方が分からんのじゃ。
礼儀正しい坊主だったのじゃが……お主、カンナギに何の用じゃ?
もしや、この自転車の坊主の知り合いか?」
「いえ、違います。わたしは……」
自分が『激撮!少年少女の長い旅。』というテレビ番組に出演していること、
地方で新聞社を身内だけでだが経営していること、その記事のために取材したい、と
趣旨をのべて了承をえようとして、その時になってオレンジは思い出した。
「あっ、長老様に直接頼むべきでしたね」
しまった失敗だ、と反省しつつも言ったのだが、老婆はこともなく。
「私が長老じゃよ。そうか、取材……良かろう、案内しよう」
「あ、はい!」
まさかすぎる。
別に一人で行けるが、こういうのは断ったらいけないはずだ……その、流れ的に。
「ここカンナギには、町の中心部に『いにしえのほこら』がある
奥にあるのが遺跡じゃ」
「はい」
軽くではあるが調べたので、それくらいは知っている。
入り口を守るかのように、ポケモンなのかは分からないが、何かが描かれている。
「写真、撮ってもいいですか?」
「どうぞ、撮りなさい」
リュックからカメラを取りだしカシャリ、と手ブレしないように撮る。
「これは右がパルキア、左がディアルガだと言われている。
パルキアとディアルガは知っているかい?」
「はい。空間を繋げるパルキア、時間を操るディアルガ。
どちらも神話に神様として登場するポケモンですよね」
その通り、と言うかのように長老は頷いた。