激撮!少年少女の長い旅。
□凍ったままの時間
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Side/D
「…………」
ヨルノズクの“ホー”に“きりばらい”をさせて空気を入れ換えても、
何故だかまだ肌寒くて、ネイビーはぎゅっ、と腕を強く握った。
寒さの原因はそれだけでは、無いけれど。
「氷が溶けたのはマグマッグがこの場の空気を上昇させたからか……」
割れた氷から自分が出ることができても、普通なら自分は死んでしまうはずだ。
……ケレスに鎌をかけた時の、あの動揺っぷりを思い出す。
『僕が凍ってる間にレベル上げなかったの?』
それは、僕が長い間凍らされていた、という証明。
短期間なら、言い訳をしてきたはずだ。
ケレスはそういう男だから。
「だったら何故」
僕はまだ生きていて、何事もなかったかのようにポケモン達も戦える?
答えなど出るはずもなくて、立ち尽くした。
◇◆◇◆◇
「こっちです!」
ポケモンが回復したのだろう、少女が戻ってきた。
ジョーイさんと長老さんを引き連れている……連れてきてくれて少しホッとした。
「あなたは……ネイビーくん!?」
「坊主!どこに居ったのじゃ!?」
同時に叫ぶように問われ、困惑する。
「待ってください、順を追って説明しますから」
全てを説明するためには。
僕が氷漬けにされていたワケを説明するには。
まず、話さなければならないことが。
「――みなさんは、“プルートイド”を知っていますか?」
それはまだ、水面下の話。