激撮!少年少女の長い旅。
□凍ったままの時間
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プルートイドとは。
マイナーで知っている人もほんの一握りしかいないと思われるが、
太陽のまわりを公転する天体の新しい分類として定義された準惑星の分類名。
中でもエリスや冥王星をはじめとする準惑星のことを――“プルートイド(Plutoid)”という。
しかし今回はそんな意味はあまりないのかもしれない。
「プルートイド。それは元ギンガ団幹部、プルートの失敗から学び、
“合法的に”世界を滅し、“合法的に”世界平和を考える集団」
彼らは自らを、そう名乗っている。
ジョーイさんと長老さんが、同時にビクッと肩を震わせた。
「そいつらがギンガ団の無き後、シンオウで活動をしだすために、ジョウトに潜伏していたんです」
「ジョウトと言うと、あのジョウト地方ですか?」
少女が首を傾げながら口をはさむ。
そうだった、ジョーイさんと長老さんにはトレーナーカードを見せたことがあるから
僕の出身が割れてるけど、この子とは今日初めて出会ったのだった。
「僕は生まれも育ちもジョウトだから。そこでプルートイドを見つけてしまった僕は、
ウツギ博士の約束もそこそこにシンオウに来たんだ」
最初は港町……ミオシティに着いて、追い詰めて。
寸での所を“テレポート”で逃げられてしまって。
「再度情報を収集するうちに、カンナギタウンに来るとの情報が入って」
だから僕は立ち向かって行ったんだ。
◇◆◇◆◇
『くっ……』
『ゴースか。効果は抜群だし、僕に君は勝てないよ』
ずり、と足をひきずって後ずさりする男……ケレス。
くすんだ金色の短髪をかきあげて、後ずさりしてもなお、あいつは高笑いをした。
かはかはかは、と。
嘲るように、笑みとも思えないような笑みをこぼす。
『エルレイドに負ける、か。ゴースが?そんなわきゃねーよ』
あいつは、かははと言って。
僕は何も言わなかった。
『……プルートイド、お前の名前は、何て言うんだ?』
『ケレスだ、よおく覚えとけよ……ゴース、“さいみんじゅつ”!』
『ラス、“サイコカッター”』
命中率が元から悪い“さいみんじゅつ”は当たらず、ラスの“サイコカッター”が
見事に急所に当たる。
『リーダーを、連れてきなよ。僕の手持ちはタマゴを含めて残り5体。
ケレスの手持ちはゴースが最後。勝ち目がないことくらい、分かるでしょ』
これで逆転できたら僕は君に敬服するよ。
言って僕は。
この時完全に、
…………油断していた。
『ゴース、』
『まだ続けるつもりなの?』
『黙れッ……“れいとうパンチ”!!』
何をする気だ、と言うより速く。
ラス共々僕を壁に叩きつけて。
『っこんなの……ポケモンバトルじゃ、ない……っ!』
『は?何言ってんだよ』
かはかは、と笑い。
『――“バトル”なんだ、勝ちゃいーに決まってんだろ?』
じゃあな、と下劣に笑ったのを最後に。
壁の奥深くへと、僕はポケモンと氷で埋められた。
◇◆◇◆◇
「……だから僕は、今日までここにいたんです」
僕は今までどこにも行ってない。
「ところで、今日は何年の何月何日なんですか?」