激撮!少年少女の長い旅。

□凍ったままの時間
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「1年……」

「そうじゃ。坊主が行方不明になってから、およそ1年経っておる」

未だに信じられない。

だって自分は1年も氷漬けにされていたように、思えていなくて。

普通に……何も、変わらず。

そんな僕の混乱した状態を察したのか、それぞれジョーイさんはポケモンセンターに、
長老さんは長老さんのご自宅に戻られた。

『落ち着くまでいなさい』、と言葉を残して。


「…………」

「……」

少女も何故かまだ残っている。

何故だ。


「……君は、戻らないの?」

「ネイビーさんは、わたしの……命の恩人です」

そんな恩人の方が悩んでらっしゃる所は、放っておくのが正しいことなのかもしれませんが。

わたしは、そうはできない性分なんです。

少女は少女に似つかわしくない言葉遣いではにかみながら言う。


「そばにいちゃ、ダメ、ですか……?」

「別にいいけど」

ただ気まずくて。

女の子となんて、気兼ねしたことのない幼馴染みとしか話したことがない、と
言っても過言じゃないほど話したことがない。

僕は元から無口らしいけど、何か話さなくては、とあせる。


「あ、そういえば君……」

ピルルルルルルル!!

唐突に、電子音が鳴り響いた。


「!?」

「何の音!?」

音源は……ん、少女のポケット?


「何が入ってるの」

「えっと……これ、なんですけど」

少女がポケットから取り出したのは、はたして。

全国に無数にあるであろう、旅するトレーナーの必需品。


ポケモン図鑑、だった。
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