激撮!少年少女の長い旅。

□コケて!騒いで!やっちゃって!?
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しれっとしたまま、ネイビーさんはヨルノズクをボールから出す。

本当に、何を考えているのやら……よくわからない。


「ホー、“みやぶる”」

『ホー!』

なるほど、みやぶる!この場所を“みやぶる”ことができれば、
道は分からずとも脱出できる、ということだろう。

ちょっと無理があるかもしれないけれどスゴい。

ポケモンの技は、バトル以外にも使えるのかと。

改めて―――感じた。

人を助けられたり、種類によっては、殺してしまいそうになるようなものもあるけど。


「あとに付いていこう」

「はい」

ヨルノズクが跳ねながら移動するのを、必死になって追いかける。

体格差があるせいで離れてしまうけれど、こんな山で離れ離れになってしまったら大変だ!

それこそ、一生山暮らししなきゃいけないと、覚悟しなければならない。

そんなの嫌だ!


「オレンジ」

「はい、何で、すかっ!?」

前に進みながらだから、どうしたって小走りのわたしは息があがってしまい。

ネイビーさんの方から話しかけてきてくれて、びっくりした。


「よく一人で山を越えようと思ったね」

「あう……ごめんな、さいっ」

「危なっかしい」

「こんな、大変だとはっ、思わな、かったんですっ!」

わたしって体力無いなあ、息切れしてばかりだ。

感覚が無くなりそうな足を動かして、会話。

段々と疲れてるせいで会話が雑になる。

返答に―――頭が回らない。

回らない頭で何とか考えて返すから、本音をそのまま。


「もう、これからはっ、ネイビーさんと山を越えま、す!
 だから、ネイビーさん、守ってくだ、さい」

「…………その方が僕も安心する」

「そう、ですか?」

「赤の他人よりは自分の方が、信用できるから」

口をつぐまれてしまうと、息が上がっているのも手伝って、わたしも何も言えないから静寂に包まれる。

ヨルノズクがこちらを向いて、ホーと一声、小さく鳴いた。


「?」

「着いた」

ヨルノズクの大きな背中の向かい側。

出口が、光が、射し込んでいた。


「やった!ネイビーさん、出口みたいです!」

「うん」

「早く行きましょう!」

出られるのが嬉しくて、走り出した。

疲れなんて忘れちゃうほど、本当に嬉しかったんだ。
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