激撮!少年少女の長い旅。
□親子関係……憧れ。
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気を取りなおして、ジムに足を踏み入れる。
アソンさんたちもぞろぞろと着いてきた。
「あれ?ヒョウタさん、いますかー?」
少し大きめに声を張り上げると、短パンくんたちが2人、振り返った。
「うわっ、もしかして挑戦者?」
「やべっ、俺、呼んでくるからお前時間、稼いどいて!」
「了解っ!負けんなよ!」
「努力はする!」
ジムトレーナーであろう2人の仲良さげな様子に微笑ましくなりながらも、ボールを構えて名乗りを上げる。
「私はマサゴタウンのオーカー=トスカ=スピングゲート!」
カチッ。
開閉ボタンを押すと、一回り大きくなるボール。
相手の方に見せつけるように掲げて、ヤル気の度合いを示す。
「ジム戦、しに来ましたっ!」
***
「へー、君はスボミーで挑戦してくるんだね?」
「はい!」
ポッチだけで2人のジムトレーナーを無傷で撃退できたけど、連戦はキツいだろうとスボミに入れ換えた。
帰ってきたヒョウタさんは、頬を微かに黒くさせたままにポケモンを繰り出す。
「いけっ、イシツブテ!」
『イシー!!』
タイプ相性だけなら圧勝できる、はず!
ジムリーダー相手に通じるか分からないけれど……やるっきゃない!
「イシツブテ、“いわおとし”!」
「スボミ、“メガドレイン”!」
『みぃーっ!』
キラキラキラ、緑色に輝くツルがイシツブテの体力を奪う。
「イシツブテ!」
ヒョウタさんが叫ぶも、イシツブテは戦闘不能……には、ならなかった。
「えっ!?なんで!?」
相性はバツグン、レベルも上げたし、1ターンで倒せてもおかしくないはずなのに!
慌ててポケモン図鑑をひらくと…………特性、がんじょう?
嘘でしょう、思いながらもどうしようもない。
いわおとしが命中する、効果は普通。
「スボミ、大丈夫?」
「イシツブテ、続けて“いわおとし”だ!」
『みっ、みぃっ!』
慌てたようにイシツブテから逃げ出そうとするスボミ。
野生のポケモンは1ターン目で倒せてきてしまったから、気が動転してしまっているのだろう。
「スボミ!逃げないで!もう1度“メガドレイン”!」
『み、みぃっ』
ぴょん、と跳ねて方向転換。
スボミのメガドレインの方が素早い!
「やった!スボミ、やったよ!」
まだ1匹目だけど、嬉しくて。
こちらに向き直ってくれたスボミを抱き締めようと、腕を広げた瞬間。
『っ、っ、っ!!』
図鑑のバイブレーションが予告なく起動した。