激撮!少年少女の長い旅。

□感情に名は無く、
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Side/B



彼と、最初に出会ったのはお世辞にもロマンチックとはいえないようなシチュエーション。

これはそんな彼との、二度目の出会いのお話。
















クロガネジムを勝利、という形で去った私はまた、ミオシティに向かって歩いていた。

リベンジマッチ、とカッコつけたい所だけれど
前回は1人目のジムトレーナーに負けてしまっただけだからそうもいえない。

気分だけはリベンジマッチなんだけど……できれば行きたく、ない感じ。

まあ行かなきゃダメに決まっているんだけれども。

さて、そんなこんなを悶々と思っていると。

ゴロゴロ、とあまりかんばしくない音が頭上で響いた。


「ま、まさか……雨?」

しまった、私は折り畳み傘なんて女子力の高い代物は所持していないのだ。

うわああ…………。

今度、絶対フレンドリーショップで買おう。

何があっても絶対に買う。

遅いながらに心に誓いながら、小走りに先を急ぐ。

もう海道は通ったから、ミオシティまではちょっとの先だから。


「外灯、こんなに暗かったっけ……?」

道を間違えてしまったかのように、錯覚する。

合っているはずなのに。

不安になって、しまう。


「大丈夫……大丈夫な、はず……」

コトブキシティで1泊すればよかった、と後悔が頭をよぎった。

だけどもシンオウの都会だ、夜も真っ暗にはならないんだよなあ。

どうせ私は田舎者、真っ暗じゃなきゃ眠れない!

ふてくされながらも歩を進めると、ポツリと。

鼻の上にまず、雫が落ちた。


「雨だ!!」

急がなきゃ、駆け出したら石にけつまずいてしまって……!

痛い、転ぶなんて久々の気がした。


「っ、あ、あれ……?」

ぐるり、辺りを見渡しても同じような草原が広がるばかり。

え、もしかして私、道に迷っちゃった!?

どんどん、セキを切ったかのように激しく、勢いを増した雨が降る。

ボタボタ降るせいでパーカーも水を吸い込んで、重い。

せめてポケモンたちにはこの不安感を伝染させたくない。

ボールに入っていた彼らを、強引にポケットに突っ込んだ。


「う……ひ、ぐ」

目頭が、頭が、熱い。

熱くて痛くて辛くて、めまいがする。

「おかあ、さん…………っ」

もうこの世にもいない母を、思わず呼んだ所で意識が途絶えた。
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