激撮!少年少女の長い旅。
□感情に名は無く、
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Side/C
突然の雨だったけれど、俺たちは折り畳み傘があるから大丈夫!
いつものようにモウカザルが俺の肩に乗り、一緒に雨宿り気分。
別にボールに戻せばいいんだけど、もう定番化してしまったのだ。
炎タイプだから雨に濡れたら大変なことになるのだけれど、まあ気を配れば平気だ。
…………進化して、少し重量を増してしまったけれど……まだ、大丈夫。
ゴウカザルになられたらさすがに無理だろうけど。
できれば続けたい習慣である。
「お?どうした、モウカザル」
くんくん、と湿気を含む空気が珍しいのか、やけに真剣に嗅ぐようなしぐさをみせるモウカザル。
匂いは無理だ、と諦めたのか、手でかさをつくって、辺りを見回し出す。
「何か落ちてるか?」
前にも似たような行動をとったモウカザルが“いいきずぐすり”を見つけたのは最近の話だ。
わくわくしながら様子を見守る。
『ウキャッ!』
不意に、声をあげた。
「どうしたんだ!?」
俺の制止の声すら振りきって、雨の中を飛び出していってしまうモウカザル。
「濡れるぞ!!モウカザル!!!」
必死に呼んでも止まってくれなくて、こちらも必死に追いかけた。
***
「だ、れか……倒れてる?」
モウカザルが一目散に向かった先には、少女が倒れていた。
「大丈夫かっ!?」
体を抱えあげると、髪が顔に張り付いている。
顔色を見よう髪をはらうと、それは見覚えがあって。
「オーカーちゃん…………じゃなくて、オーカー!?」
どうしてここに、倒れているんだ?
分からないながらに、傘を持たせていたモウカザルをボールに戻し、
リュックサックは前に背負い、彼女をおぶった。
予想していたよりも軽くて、ちゃんとご飯を食べているのか?
心配になるけれど、いやいや、今はポケセンに急がなくては!
俺もオーカーもびしょ濡れで、だけど申し訳程度に傘をさして。
おんぶした状態で1つの傘に入るのは、相合い傘になるだろうか?
どうでもいいことを脳裏によぎらせながら、駆けた。
伝わる熱は熱すぎるほどで、早くしなければ、と気が競ってしまう。
絶対に助けるからな。
歯を食いしばって、走った。