激撮!少年少女の長い旅。
□感情に名は無く、
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Side/B
頭がガンガン鳴っている。
考えがまとまらない頭で、意識を取り戻した私は、重いまぶたを開いた。
誰かが助けてくれたみたいだ。見上げた頭上はクリーム色の天井で、
ここはポケモンセンターなんだと悟る。
耳を澄ませたら、ボーッという汽笛が聞こえた。
あ、ミオシティ……なのか、な。
窓から射し込む日差しから推測すると、多分今は正午近く。
ポッチたちはお腹を空かせてないかな。
えっと……体をよじらせて立ち上がろうとすると、視界がグラリと揺らぐ。
「っ、大丈夫か!?」
扉が不意に開いて、駆けつけてくれた人に支えられて座らされる。
タイミングがよくて助かった、この人がきっと意識を失った私を助けてくれたのだろう。
「ありがとうございま……!!」
伏せていた顔をあげる。
そこには何故か、心配そうな顔のパープルさんが立っていて。
何で、よりも先、そういえばパープルさんはミオジムに挑戦しに行ったんだっけ、と思い出す。
クロガネシティに向かってたのかな?
だとすれば、というか多分、トウガンさんに勝ったのだろう。
「パープルさん!助けてくださって、ありがとうございました」
「あ、いや、オーカーを見つけたのは俺じゃなくてモウカザルなんだ。
礼なら、モウカザルに言ってやってくれないか?」
「そうなんですか。ありがとう、モウカザル」
モンスターボールを取り出して、中にいるモウカザルを見せてくれるパープルさん。
ポケモンセンター内では、治療中のポケモン以外は原則、出してはいけないのだ。
照れたようにモジモジするモウカザルをパープルさんは、
照れ屋だから気にしないでくれ、と嬉しそうに言った。
まるで、子供の自慢をする親みたい。
面白いな、と思ったら私も幸せな気分になった。
「体調はどうだ?」
「大分よくなりました……と言いたい所ですが、まだ頭が痛いです」
「何かしてほしいこと、あるか?俺にできることならするけど」
「じ、じゃあ…………」
そんな病人だけに許された特権を、示されて。
チャンスだ!と思ってしまう私は、浅ましいのだろう。
だけれど、頭が回らないから。
まだ熱があるのだから。
言い訳だけは確保して、願いを口にする。
「ぎゅっ、てして、もらえま、せんか…………?」
やっぱ、言わない方がよかったかもなあ。