小説

□恋歌を君の隣で
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自室に入ると、運び込まれたプレゼントが山を形成し、
サイドテーブルには、執事の言っていた祝いの手紙だろう、
色とりどりの封筒がこれまた山をなっていた。

当然、これら全てに目を通し何らかのアクションをとらなければならないのだ。

痛み出したこめかみの辺りを押さえながら、乗り気ではないものの
仕方なしにプラチナは封筒を1つ取り上げる。

予想通りの『この度はお祝い申し上げます』だの
『これからも健やかなご成長をお祈りしています』だのの言葉の羅列には飽き飽きする。

メイドが作成してくれたリストを脇に、返事を送らなければならない相手にチェックを付けていくと、
可愛らしすぎるキャラクターがプリントされた封筒を見つけた。

異彩を放つそれは他のものと違うことが明らかで、自分自身ですら戸惑ってしまう。

半ば慌てながら差出人を裏返して確認して、息を飲んだ。


「っ!」


Dear:プラチナお嬢様
From:ダイヤモンド、パール

誰もいないことは百も承知なのだけれどキョロキョロと辺りを見渡してしまって、
何というわけでもないけれど立ち上がった。

ここで、こんな気分で彼らからの手紙を読もうとは思えなかったのだ。

だって彼らは別格で特別なのだから。

ドキドキと鼓動が早まるのを感じながらベッドに腰掛け丁寧に封筒を開けると、一枚だけ手紙が入っている。

堪らなく嬉しくなって、胸に抱き締めて一旦、深呼吸。

気持ちを落ち着かせて、閉じた目を開いてベッドサイドの明かりを灯す。

もうすでに真っ暗になっていたことにも今になってから気づいたのだ。

これじゃあ彼らに盲目になりすぎですね、照れ笑いしながらもくすぐったくて幸せ。


『お嬢様、お誕生日おめでとう!』


一行目は丁寧に書かれていて、ボールペンで書かれたであろうこの字は
きっと、ダイヤモンドのものだろうと推測できる。

ところが次の行はどうだろうか。


『お嬢さん、お誕生日おめでとう!!』


今度はシャープペンだろうか、違う自体が書かれている。

きっとパールですね、そう思った時には二人が並んで交互に手紙を書く場面がありありと想像できて、胸が一杯になる。

ありがとうございます、二人とも。

まだ最後まで読んでもいないけれど涙ぐんでしまう。


『今日はお誕生日のプレゼントを渡したかったけど、ちょっと無理だからオイラ達からはまた今度あげるね〜』


『そ!だから期待しといてくれよな?俺たちも、今日お嬢さんがもらってるだろう
 たくさんのプレゼントに負けないようなプレゼント、考えてるんだから!』


『その時にはまた、みんなでゆっくりのんびりしようね〜』


『ダイヤがケーキ焼いてくれるらしいから、何だったらリクエストとかしてもいいんだぜ?』


『パールに書きたかったこと書かれちゃった……。でもオイラも頑張るから、ぜひリクエストしてね!』


『漫才もするからな!楽しみにしといて』


会話するかのようなやり取りが嬉しくて、本当は電話したいところだけれどきっとこの時間じゃ、迷惑だろう。

だから私も二人に対して手紙を書くことにしよう。

どれだけ会いたいかを、どれだけ楽しみにしているかを文にして。

ああ、それから、ケーキのリクエストもしなければいけませんね。

ダイヤモンドならきっと何でも美味しく作ってしまうんでしょうけれど。

漫才も楽しみだなと思いながらペンを走らせると、想いが溢れてきて止まらない。

もう薄暗い悲しい気持ちは無くて、気づけば心は明るい色に染まっていた。


 歌を君の隣で


 title by:休憩











プラチナさんお誕生日おめでとうございましたあああああっ!
恋歌と言っておきながらCP無しですごめんなさいっ!

三人は仲良しです、何があっても絶対仲良しです。
ハリポタのハリー、ロン、ハーマイオニー的な。
あれCPもできる……。

と、ともかく大遅刻すみませんでした!

プラチナ、お誕生日おめでとう!
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