小説

□二人一緒に明日を待ち続けよう
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例えば明日、世界が終わるとして貴方は何を望みますかだとか、
ブルーはいかにも彼女の好みそうなよくある質問を口にしてにっこり微笑む。

何を期待しているかなんて見え見えで俺もため息をつくしかない。

まあこんな状況下だ、そんな質問をされても文句は言えない。


「明日になって急に世界が滅びたりするわけないだろ」


「あら、そうかしら?
 ロケット団が勢力を増大させて、グリーンやレッドや、
 実力者たちよりも強大な力を持ってして世界を滅ぼそうとするかもしれないわよ」


突拍子もなさすぎる不謹慎な話に、思わず咎めるようにブルーを見た。

が、等の本人はそ知らぬ顔でニコニコと笑ったまま。

これぐらいで動じるはずがないと踏んでいたからさして何も思わないが、図太い奴だなと思った。


「シルバーの前ではできない話だな」


「例え話が悪かっただけじゃない、もう、じゃあ例えを変えるわよ」


そうね他には、考え出す彼女は放っておいて目の前のことに集中する。

今年のジムの経費の決算だ。

維持費が予想以上に高く、このままだと赤字になってしまう。

来年分は予算を上げてもらわなくてはいけないかもしれない。

最もその場合、他のジムからもっとクーラーを使わないようにしろだの、
無駄な装飾を削るべきだの、何かと言われるだろうが。

スプリンクラーが常に作動していたり、温水プールを維持している奴らに言われたくないのだがそれも定めだろうか。

カントーは基本的に女性の地位の方が圧倒的に、何故かしら上である。

自分も姉がいるからだろうか、強く出ることはできない。


「核爆発、とか」


「いきなりそこに行き着くか」


黙っていたかと思えば、満面の笑みで切り出すものだからあきれた。

その反応つまんなーい、ブルーはどこ吹く風だ。


「ね、とにかく答えてよ」


わかってるんでしょ?

ブルーはそう言外に言うようで、書類を書くことに集中させるベクトルを変えて向き合うも、無言が痛い。

今日は俺の誕生日で、彼女は俺を祝うためにジムにまで来てくれたのだ。

それを知りながら無視して、仕事を続けている。

あと少しだったから終わらせたかったんだけどな。

何となく泣いているかのようなブルーの雰囲気に負けた。

カントーの女性、恐るべしだ。


「ブルー、お前に会いに行く」


「…………会って、それで?」


見上げてきたブルーの瞳は濡れていて、大きなそれから
ボロッとこぼれ出すのも時間の問題じゃないかと思われる。

それでもいつもの調子で強気に尋ねてきた彼女に、口角が自然と上がった。


「決まってるだろ、明日までの世界なんて許さない。
 お前と明日も明後日も、ずっと一緒にいるために、
 俺は世界が終わる原因を突き止めて、終わらせないようにする」


「………………ばか。そんなのはズルい、わ」


うっすら幕を張った目を擦りながら彼女は、ズルいとまた繰り返す。

だけれど彼女の声は、心なしか嬉しそうでもあった。


「でも、そうね。私も明日までなんて、そんなの絶対にイヤ。ふふ、ありがとう」


「何に対しての感謝だ?」


「何だろうね、わかんない。でも、グリーンにありがとうって言いたくなったんだ」


ふわりと笑うブルーは、いつもの何かと企むような含み笑いはしなかった。

それはきっと、うぬぼれもあるかもしれないが、俺が仕事の手を止めたことも関係しているのだろう。

立ち上がってブルーの前に立つと、そうだ、彼女は楽し気に言う。


「お誕生日おめでとう。これだけ待ったのよ?まあ、邪魔はしちゃったけど」


悪びれずにウインクしながらの言葉は、出会った当初を彷彿とさせた。

俺も何も返さないでいると、きゅっと抱き締められる。


「ね、明日までに世界は終わったりはしないから、
 たまには私に、グリーンの明日までの時間をもらえないかしら?」


「……何をする気だ?」


「決まってるじゃない」


いつもみたいに、私に構ってよ。

不安に揺れた瞳を安心させるように、言われなくてもそうするさ、耳元で返して、
俺からも力を入れすぎないように、優しく抱き締めた。



  二人一緒に明日を待ち続けよう


   title by:ポケットに拳銃













グリーンさんお誕生日おめでとうございます!
不完全燃焼といいますか、相も変わらずにへたっぴですね成長したい!

こう、何といいますか、甘甘?なものを書いてみたいものです。
一応はグリーンさんに甘えるブルーを書きたかったんですけどね……(遠い目)

というかもう、こんなやりとりするんなら結婚しちゃえばいいと思うんですけどね。
公式でまた出てくれるといいのにな!


グリーン、お誕生日おめでとう!

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