小説

□さよならのおわりに
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(ホワイト)



※学パロ


どうにも私には愛校心というか、母校に対する思い入れが薄いらしい。
そんなことをぼんやりと思いながら出席する学生生活最後では、ないだろうけれど最後から限りなく近い卒業式でも、
やはり涙はこぼれなかった。

卒業なんだと思い改まって、泣いたことがない。
正直、卒業式は寝た記憶しかない。
在校生の時も卒業生の時も、だって祝辞が長すぎるから。

周りの子達が泣きじゃくる中、平然としているのはさすがに良心が傷んだ。
場違いさに悲しくなる。

前に、お母さんにそっとそのことを言ったことがあった。
私が話すとお母さんは、しばらくの間私の目をじっと見ていた。
それからそんなに思い詰めるような問題でもないのにと、優しく笑った。

私には易しくない問題だったけどね。


『学校に対する未練がないからじゃない?ホワイトは前を見つめていて、未来をいつも考えてるから』


私には夢がある。無謀だ、って笑われるやもしれない夢が。
未練がない、つもりもなかった。
もっとああすればよかったな、こうすればよかったなと考えてしまう。
お母さんにそう言うと、お母さんはそういうことじゃなくってと打ち消した。


『ずっとここにいたい、とか。変わりたくない、とか。
そういうことを思ったり、戻れない日々を懐かしんで、みんなは涙を流すんじゃ……ないのかな』


でも、変わらない人なんていない。
人はみんな変わってしまう。
自分ではその事を気付けもしないままに。

学校を離れたくない、その気持ちが一番私には分からなかった。
あの先生の授業はみんな嫌いで、あんなにも早く終わればいいのにと愚痴っていたのに。
人の心は、全くもって分からない。

そんなことを思い出したのはやっぱり、今も分からないからで。

体育館を後にして校舎を出されたけれど、写真を撮る輪には入らずに一人、学舎を見つめた。
分からない、私には。
それでも何となくだけれど、変わりたくない気持ちは感じられた気がした。


「嫌だなあ、私。人は変わるなんて知っていながら、自分が変わったことに気付けてなかったなんて」


大人の前で愛想よくしたり、目的のためにリスクを背負ったり。
夢のために積んできた経験だけれど、犠牲にしてきたものは一体どのくらいあっただろう。

そもそも私は、幼いあの日から何を、失っているんだろう。
純粋さは、少なくとももう。
だってあの日みたいにただ目をキラキラさせて、期待に胸を高鳴らせて、心から笑ったりなんてできたりしないから。


「ああ、もう。変わりたく、ないな」


その日に初めて、私は卒業式で涙を流した。











別に社長じゃなくてお嬢様でもよかったんじゃないかとも思ったけど、お嬢様は前に卒業式ネタで何か書いた気がする、と
漠然と思い出したのでせっかくだから社長を。

ブルーでもよかったかもしれないと今更ながら思った。
他の子は泣くタイプだと思ってる。

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