小説

□みどりの日はラムネの日
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げ、なんて声を上げたかと思うと女の人はゴールドさんにお説教を始めた。
こ、こわいなあ……。
ブルー先輩を見ると、紹介するわね、と朗らかに笑った。
何でまだ笑っていられるのかオイラにはちょっと分からない。


「怒ってるのはクリスタルよ。みんなクリスって呼んでるけどね。
分かってないと思うから教えてあげるけど、さっきゴールドが言っていたのは嘘だからね?」


「え、ええ〜?じゃあ、どうしてグリーンさんにラムネなんか掛けるんですか〜?」


「楽しそうだと思ってやってみたら楽しかった。それ以外に理由がいるか?」


怒られているのにゴールドさんはいい笑顔で言い切った。
クリスタルさんのキックが華麗にきまる。
うわあ、痛そうだなあ。


「いるに決まっているでしょう!失礼だと思わないの!?それに、毎年毎年いい加減止めなさいよ!」


毎年やってるんだ……すごいなあ、カントー地方って。
グリーンさんはまだレッドさんにラムネを掛けられている。
レッドさんすごいな、ラムネの瓶を抱えながら片手で浴びせていくのはもはや達人の技なんじゃないかって思う。


「ちくしょー……」


「バカだろ」


ふん、鼻で笑ってゴールドさんを見る。
誰だろう、というか、いつからいたんだろう。
全然気付かなかった。
いつの間にか背後にいたその人は、ブルーさんと親しげに話している。
もしかしてさっき言ってた弟さんかな。
見守っていると、レッドさんとグリーンさんの攻防戦が終わりを迎えた。
グリーンさんがこっちに走ってきたんだ!


「う、え、わあ!?」


軌道のずれたラムネがびしゃあっ、と降り注ぐ。
うう、また濡れちゃった。
脳裏によぎったのは、とりあえずデータを袋に入れておいて良かった、ということだった。





「それにしても悪かったな」


「いえいえ〜。それよりもグリーンさん、よろしくお願いします」


「ああ」


ピジョットに乗って、データを持ったグリーンさんは空を飛んでいってしまった。
クリスタルさんは今でもまだレッドさんとゴールドさんを怒っているようで、電気の灯ったジムの窓には三つの影がゆらゆら揺れている。


「ふう。ちゃんと届けられて、よかったなあ」


厳密にはオーキド博士には渡せていないけれど、グリーンさんなら渡してくれたに違いないから。
今日は一日、びっくりしっぱなしだったけれど、それでもみなさん仲良しなのが伝わってきて、なんだかオイラも無性にパールとお嬢様に会いたくなっちゃった。
帰ったらすぐに、この話をしよう。
カントーのお土産はもちろん、サイコソーダにして、ね。


 みどりの日はラムネの日

 (人に掛けちゃいけませんっ!)















タイトルセンスの無さが深刻。
もろもろごめんなさい。

からかうゴールド、便乗するレッド、節度をわきまえるブルー、真面目なクリス。
真に受けるダイヤ、苦労人シルバー、もはや動じないグリーン。
を書きたくて書いたのですが……。

シルバーの苦労人要素が足りない。
節度をわきまえるブルーも足りない。
ついでにグリーンは動じないって、そんなことない結果になってしまった。

頑張ってダイヤ出したいな、と思ったら想像以上に書きづらくて大変でした……しかも無駄に長い。

グリーンさん今年もすみませんでした!
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