TOY

□ひざまくら
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長くなってしまったなあと思いながら彼女の髪を撫でた。
もうそろそろまとめに入らなければいけない。
彼女だってお昼寝をしなければ、この後が辛いだろう。


「男の子のお陰でセレビィは逃げることができて、だけどトレーナーと一緒にいたラプラスを、お父さんとお母さんのいる時間に、セレビィは戻してあげました。
特別にそうしたセレビィはトレーナーにその様子を見せました。トレーナーはとても嬉しそうでした」


「……トレーナーさんは、つれていってもらえなかったの?」


「セレビィも疲れていたから。だってずっと逃げていたのよ、鬼ごっこをずっとしてたら疲れるでしょ?」


こくんとうなずく。
ふああ、彼女は眠たそうにあくびをした。
もう潮時だろう。


「誰も男の子がセレビィを守ったなんて、時間が戻されそうだったなんて知りません。
でも私は、そんな男の子のことがとてもカッコいいと思うんだ」


おしまい。
ごめんね、つまらなかった?聞くと彼女はゆるゆると首を振った。


「クリスタルせんせい、は、そのおとこのこがヒーローだから、すきなの?」


どきりとした。
彼はそこにいる。
けれど彼女のとろんとした目を見ると、答えなければと思わされる。
好き、自分の口の中でつぶやいた言葉は何だかとても気恥ずかしいものだった。


「……ヒーローよ?好きに、決まってるじゃない」


そっかあ、ふにゃりと笑った彼女は眠気に逆らえずに目を閉じた。
すうすうと、規則正しい寝息をたて始める。
そっと、彼女の頭の乗る膝をクッションとすり替えて一息つくと彼がそこに立っていた。
いつの間にいたのだろう、ビックリする。


「チビッ子にする話じゃねーだろ、クリスタルせんせ?」


俺まで眠たくなっちまったぜと言って、本当にあくびをするからちょっとあきれる。
言いながらも頬がかすかに赤いのは、まあそういうことなんだろうけれど。
分かりにくい。
でも、ちゃんと照れているんだな。
そう思ったら笑えてしまった。
変な目で見られるけど今回ばかりは気にしないことにしよう。


「じゃあゴールドくんもお昼寝するの?」


「おうおう、お前の膝の上に頭をのっけて寝てやるよ」


「あら、それじゃ本当にあなたも小さい子ね」


うっせー、なんてぶっきらぼうに言われても全然不良っぽくない。
照れ隠しが彼はとてつもなくへたっぴだ。
恥ずかしがりながらも律儀に?私の膝に頭を預ける彼が、何だか新鮮。
何たって赤い顔をどこにも隠すことができなくて眉毛を下げているのが、とっても印象に残りそうで。
クスクスと声を殺して笑うと、小さな力でぽかり、と腕を叩かれた。
痛くも痒くもなくて、優しさにまた私は笑ってしまう。
















もうこれエセ現代風パロと銘打って保育士クリスと注釈を入れた方がいいような気がしてきた。
しないけど。
内緒話に引き続いてチビッ子に嫉妬するも変に意地を張ったせいで姿を表しづらくなってしまったゴールドでした。
ストーカーっぽいかも(笑)
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