TOY

□36℃
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(セトマリ)



蛇は変温動物で、人間は恒常性を持つ定温動物だ。
ならばメドゥーサはどうなのかというと、これが実は人間と同じ定温動物だったりする。
だってメドゥーサは冬眠しないでしょう?
でもやっぱり、人間ほどの高い体温は維持していないから私にとってみんなは、常に温かい存在だった。
反対に私は、みんなより冷たかったりするのかな?
そう思ったら何だかちょこっとおもしろい。
みんなに隠れて小さく笑うと、背中に回ったのにセトは体を捻って私の方を向く。


「ん?マリー、どうしたんすか?」


「な、なんでもない!セトは気にしないで」


一人でにやにやしてるなんてカノでもあるまいし。
恥ずかしくってセトの体をぐいぐい前に押しやると、セトは不思議そうに首をかしげながらも前を向いてくれた。
ふーっと息を吐いて、ホッとする。
そのまま、ちょっとだけならいいかなと思って目の前の彼の背中にコツンと頭をぶつけた。
おでこが彼の背に触れるから温かくなっていく。
えへへ、セトといると私はいっつも温かくなれちゃうや。


「何でもないならいいんすけど。あんまり無理しちゃダメっすよ?マリーは一人じゃないんすから」


「……うん。分かった。ありがとう、セト」


優しく言ってくれる彼はやっぱり、私のことはすっかりお見通しみたいだ。
心を盗んでしまうのが嫌だと言う彼は誰よりその心に敏感で、だから能力を使わずともこうやって察してくれるのだろう。
優しくて、温かくて、セトはすごいな。


「あのね、私、セトのことが大好きだよ。だからね、セトも、セトのことを嫌いにならないでね」


今でもセトは自分の目が嫌いなんだって。
だから彼は滅多なことがない限りは能力を使わない。
使いこなして、封印してるみたい。
どんなセトもセトはセトで、私は大好き。
セトのことを知ってる人ならたぶん、みんなそういうと思うけど。
だってセトはみんなに優しくてみんなに好かれてる。


「また突然っすね」


セトはおかしそうにくつくつ笑った。
背中に振動が伝わってきて、何だかくすぐったい気持ち。
そのまま続く言葉を待っていると、セトは唐突にくるりと私に向き直った。
膝を折って視線を合わせて、重力に下がって私の頭が落ちていかないように肩を支えてくれる。


「大好きとまでは言い切れないけど。でもマリーがそう言って笑ってくれるから、俺は昔の俺のお陰でマリーに出会えたから、俺は俺のこと、前よりかは嫌いじゃないっす」


はにかんで私に向かって笑いかけてくれる君は、私から見たら今も昔もそんなに変わらなくて。
どっちのセトも明るくて、カッコいいよ。
それにしても「嫌いじゃない」なんて、素直じゃないなあ。
嫌いじゃないならちゃんと「好き」って言えばいいのに。
だって私は上手いことみんなの気持ちを汲み取ることは苦手で、言葉にしてくれなきゃ分からないんだもん。


「そっか。でも私はセトのこと大好きだからね」


きゅっと手を彼の背中に回して抱きつくとセトはしっかり受け止めてくれた。
それだけはどうか、これだけはどうか、忘れないでいてほしい。
いつか巻き戻される未来が来ても、続いていく未来が来ても、私がセトを想う心は変わらないから。
改めて向き合って手を繋いで目を合わせる。
セトの目はいつだって綺麗だ。


「ありがとう、マリー」


はにかむセトに私も笑って、二人のおでこがこつんとぶつかった。
それすらいとおしくてくすくすと二人で笑ううちに、ずっと繋いでいたからか彼の手がいつの間にか私と同じくらいの温かさになっといることに気付いた。
人間にはどうしたってなれないけど、私は彼と一緒にいる間は普通の女の子になれるの。
その証拠にほら、私の手は、今。












こじつけた感がある。
セトマリといいながらセトがあまりいない気がするのでもっとセト書けばよかったなと若干思った。

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