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□破天荒な私を愛して
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「もう、サファイアってば……」

疲れたように情けない声を出すルビーに、気づいたけれど無理に腕を引っ張った。


「次はあれったい!あれ乗らなきゃ、帰らなかっ!!」

「まったく、君って……」

「何ね、だったらルビー、1人でメリーゴーランドに乗って欲しか!」

「それ、ただの僕に対する嫌がらせじゃないか……」

はあ、と諦めたような息を大きく漏らしたルビーに、私は笑いかける。

「交渉成立ったい!」

遊園地に行こう、と前々から計画をしっかり立てて来たのだが、
いかんせんアウトドア派とインドア派が一緒に遊園地に来てしまったのだ。

勃発するのは、どのアトラクションに乗るか、である。

午前中はルビーの希望した、ショーや売店を巡ることであっという間に時間は過ぎて。

サファイアのターンである午後から、ルビーにとっての地獄が始まったのである。

絶叫マシンから絶叫マシンへと、10分と置かずに乗り継いでいく。

しかもサファイアの選ぶアトラクションは、並ぶ人もまばらなほどの殺人級絶叫マシン。

通りですぐさま乗れるはずだ、水しぶきですでに雨ガッパは意味を成していない状況下。

帽子をかぶり直しながらルビーは若干後悔しかけた。

と、そんな刹那にも次のアトラクションを提案されたのだから頭が痛い。


「……はあ」

天高くそびえるジェットコースターにため息すらおざなりになる。

あれはアウトでしょサファイア、だってあれは90゚じゃん!直角じゃん!

どうして彼女はあんな乗り物に乗って、楽しそうに笑えるんだろうか……
どっかおかしいんじゃないの?


「ルビー、そんな嫌……?だったら私、その、諦めるけん、」

僕の今日一番の嫌がりっぷりを察してか、連行されるように捕まれていた腕を、離された。

重力に従って落ちる腕を見ながら、彼女の言葉を聞く。


「最後にルビーの好きなアトラクションに乗るったい!そんなら、ルビーも楽しか!そうったい!」

「いいよ、サファイアの好きなのに乗ろう?」

今日、遊園地に来ることを楽しみにしていたのは、君の方だからね。

嬉しいような、何だか僕に悪いと思っているような顔をして、サファイアは口をつぐんだ。

顔を少しだけ朱に染めて、視線を落として。

恥ずかしそうに、それなら、と口を開く。


「一緒に乗ってくれるのなら……乗りた、か。乗ろう?…………観覧、車」

言いにくそうに言って、はにかむように破顔した。
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