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□こいのぼり
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屋根より高いそれは、レッドさんの家にはありませんでした。

向かいにあるグリーンさんの家には、立派な大きなのがあって、一番上には、こいじゃないのが付いています。

気持ち良さそうに泳ぐそれを見て、レッドさんは少しだけ照れたように口を開きました。


「グリーンのはでかいし、カッコいいよなあ。俺なんか、自分の持ってないし」

寂しそうな瞳が、辛かったのです。




 こいのぼり




何とかして彼の、彼だけのこいのぼりを作れないだろうかと、僕はまず思いました。

買ってもよかったのですが、残念なことに僕のおこづかいでは手が届きそうにもなかったのです。


「作るって言っても……どうやったら作れるんだろう?」

まず第一に、お菓子や家具のように、作り方を調べれば分かるものなのでしょうか。

それにあの大きさです、特別な道具が必要だと言われてしまってもおかしくありません。

そして、これが一番重要なのですが、今日中に作らなければ意味がないのです。


「チュチュ、どうしたらいいかな……?」

『!、!』

何かひらめいたのでしょうか、ぴょんぴょん跳ねて僕を誘導していきます。

一体、どこに行けば何があると言っているのでしょうか。


「あ、新聞紙かあ……」

そういえばずいぶん前に、こいのぼりではありませんがかぶとを新聞紙で作る方法を、
本か何かで見た覚えがあります。

もしかすると、テープでベトベトになってしまうかもしれませんが……
今は、それをしのぐ最善策が思い付きません。


「じゃあチュチュ、手伝ってくれないかな?」

『!』

もちろん、と言うかのようにうなずいてくれる可愛い彼女に笑いかけて、
さあいよいよ作業開始です!


「多分、これを……こうしたら……あれ?うまくいかないなあ……」

試行錯誤を繰り返して色々と試してみましたが、何だかうまくいきません。

やっぱり、こいのぼりを作るなんて、無理なんでしょうか。


「新聞紙が無理なら、布なら、できるかな……?」

それでも、挫折するわけにもいきません。

今日渡さなければ、意味がないのです。

渡せなければ、意味がないのです。


「こいのぼりといえば、青の大きいの、赤の中くらいの、水色の小さいの……かな」

確証のない漠然としたイメージで決めてしまいましたが、

それ以外にちょうどいい布がないのも要因でした。

棒は、竹串は当然のこと、ストローでは幻滅してしまいます。

でしたら、細い竹ならばどうでしょうか。

ミシンで布を、なんとかこいのぼりのような形に縫い合わせながらも、ぼんやりと完成図を思い描きます。


「うん、そうしよう!ラッちゃん、ピーすけ、細い竹を取ってきてくれない?」

了解!というかのようにうなずいて外に飛び出す姿が微笑ましかったのですが、
見送るとミシンがあらぬ方向に進み出しているのに気づきました。


「うわあ!?ストップ、ストップー!!」

どうなることやら、まだ前途多難なようです。
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