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□意志が弱くて何が悪い!
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※学パロ





いつもはグリーンと俺とブルー、時々ゴールドやシルバー、クリスなんかとワイワイやりながら通学するから。


(なんつーかなあ……やっぱ1人だと、静かだ)

だけれども仕方ない、今日はグリーンが珍しく風邪をひいてしまって休むなんて言い出すし、
ブルーもゴールド達も、もう行ってしまったみたいだから。

少し寂しい気もするけれど、こういう日もあるよな、と
自分で自分に言いわけじみた大義名分を立てさせていざ参らん、学校へ。

久々にイヤフォンをつけてミュージックプレイヤーを起動させる。

方耳にだけイヤフォンをいれて登校するなんて、
グリーンがいたら出来ないことベスト10の上位にランクインしているに違いない。

他には何がランクインしているだろうか、授業中の居眠り?

いや、グリーンがいてもよくやるからランクインはしてないか。

となるとサボりか、上靴の裏に画ビョウ刺す等の地味な嫌がらせとか、早弁が妥当かな……
俺調べの俺の勝手なランキングを真剣に考えていると、ちょうど曲がサビに差し掛かった。

ちょっと音量が大きすぎるかも、音漏れしてたら近隣の住民の皆様に迷惑に違いない。

あー、やっぱこの曲いいな。

改めて思いながら音量を下げるといきなり、背後から抱き着かれた。


「っ!?」

「ふああっ!?」

一瞬、ラノベや深夜枠のご都合主義展開のハーレム物なアニメでもあり得ないような展開に
思考が停止しかけるも、とりあえずは背後から誰が俺に抱き着いたか確認すべきに違いない。

恐る恐るイヤフォンを外しながら振り返る……
ここでゴールドあたりが『頭突き成功!』とかって笑って立っていてでもしてくれたらいいんだけどなあ。

ゴールドへの俺のイメージが悪化の一途をたどっているのをヒシヒシと感じつつも

……って、あれ?

長い金髪のポニーテイル、俺と同じ学校の女子生徒用の制服を着た。


「イエローじゃん!おはよ」

「あう、レッドさん、その、……おはようございます…………」

鼻の頭が赤い辺り、イエローがぶつかったのか、なんて思いながら見つめていたら
パッと赤くなってうつむくから、後半はほとんど聞き取れなかった。

おはよぅ……ござ……す、みたいな。


「どうしたんだ?俺と誰かを見間違えたとか?」

いや、見間違えたとしてもイエローが頭突きする相手ってちょっと想像がつかないけど。


「レッドさんを誰かと、見間違うわけ、ないじゃないですか……」

恥ずかしいのか痛むのか、鼻を押さえながら小さな声でつぶやくイエロー。

あ、鼻がぶつかったんだったら頭突きじゃないか、なんてどうでもいいけど思う。


「レッドさんを見かけて……朝会うなんて初めてだし、嬉しくてっ……石に、けつまずいちゃったんです」

今度は正真正銘、照れてだろう顔を一段と赤らめた。

そんなこと言われたら、単なる年上の先輩に対する社交辞令なんだろうけど、簡単に俺の心は跳ね上がる。

可愛いし、優しいし、イエローは本当にいい子だよな。

誰かと付き合うとか、そういう話は聞いたことがないけれど、好きな人とかいるんだろうか?

俺だったりしないかな?……ありえないよな、うん、ハハハ笑えねえ。


「それは、その」

それでも、一度でも思ってしまったことはなかなか忘れられなくて。

鮮明に、色濃く、残ってしまって。


(気まずい、っての)

向かい合って赤くなって、照れあうなんて、カップルでもないのに。

付き合っているわけでも、ないのに。


「? レッドさん?」

俺が言い掛けたまま黙ってしまうと、イエローの不思議そうな問い掛けられてハッとする。

俺は単なる、同高の先輩で、イエローは気を使ってくれてるだけなんだから。


「ごめんごめん。なんか、ありがとなっ、イエロー!」

勘違いするなよ、バカ。

自分を自分で戒めても、何故だか泣きたくなっただけだった。


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