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□意志が弱くて何が悪い!
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通学路の沿線上のその先に、レッドさんを見掛けて、登校時に会うなんて初めてだから、

そう、思わず。

年がいも、何にもなく走ってしまった。


(ボク……何してんだろ、恥ずかしい……)

走り出した下り坂、止まれなくて、止まりたくて、止まりたくなくて。

このままレッドさんの背中に激突しちゃうのも、痛いだろうけど悪くないかも。

そんなことを思ってしまったがために。

声も出せずに減速したレッドさんの背中に唐突に、ぶつかってしまった。


(うわああ……今の、絶っっ対痛かったよなあ……
ごめんなさい、ごめんなさいレッドさん……!)

ボクも鼻が痛くて、鼻血が出たらどうしようとか思ったけど、
そんなことよりレッドさんだ。


「イエローじゃん!おはよ」

だけれでもこの優しい先輩は、どうやら痛みをこらえてボクに先に挨拶をしてくれたようで。

まずは痛みを訴えられるだろうと覚悟していただけに、拍子抜けだ。

とりあえず挨拶を返して、弁明しようと自分の本心をありのまま伝えて……。


(わああああっ!ボク、今、何を言って……!?)

改めて思い出せないような、恥ずかしさだけで死ねそうな自分の弁明。

必死すぎて恥ずかしさが少し飛んでいた。

黙り込んでしまうボクに気を使ってくれたのだろうか、レッドさんも口を閉ざしてしまうから静まり返る。

小さなシャカシャカいう音が、レッドさんの首もとのイヤフォンから聞きとれた。


「? レッドさん?」

近くの家の生活音が聞こえて、現状打破を試みた一言。

レッドさんは驚いたように目を少し見開いて、ボクを視界に写し入れる。

今、レッドさんの瞳にはボク1人だけが写ってるんだ。

恥ずかしさを嬉しさが上回って、ほうっとしていると、レッドさんがはにかんだ。


「ごめんごめん。なんか、ありがとなっ、イエロー!」

寂しそうに揺れる赤の瞳が、惑わされそうなほど美しくて触れたくて、ゆっくりと手を伸ばす。


「イエロー?」

「っ!」

行き場を無くした手が空をさ迷う。

どうしようか、頭が真っ白になってパニックに陥ったみたいだ。

えっと、ボクは、その、どうしたらいいの?


「おーい、大丈夫か?イエロー?」

覗き込むように見られて、視線がカッチリ絡み合う。


「イエローも熱でもあるんじゃねえの?風邪、はやってるのかな……無理するなよ?」

「はい、レッドさんも無理、しないで……ください」

離せない、離れない赤い目に吸い寄せられそうで、
でも、数秒前に痛い目見ただけに実行できそうもなくて。


「っ、」

慌てて視線を反らした。

もう、あれ以上は無理!

あれ以上見てたら、ボクは、……ボクは何がしたいんだろう?


「急がないと学校、遅刻しちゃうな」

笑いながら言う彼に、急げそうもありませんと、心の中でだけ返した。




 意志が弱くて何が悪い!

 (目を合わせるのも恥ずかしいけど、目で語れば思いは通ずるはずだから) 




















いつも以上にタイトル&サブタイトルが意味不明ですみません……!

レッドとイエローの話、とのことでしたがいかがだったでしょうか。
勝手にカップリング的な話にしてしまってすみません……

友情的な話のがよかった!って場合はお知らせください書き直します。

レッドが当サイト史上最も、アホくさいことを真面目に考えていると思われます。
個人的にはレイエに見せかけたイエレみたいになってしまったかと……
あれこんなはずじゃ。

毎度のことですが後書き長くてすみません。

リクエストありがとうございました!
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