文章
□ラブアフェアー・ラプソディー
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「と、いうわけでコレが僕らからのプレゼント!」
「今日1日限定で貸し切りったい!」
「サファイア、貸し切りって言うのは少し語弊があると思うんだけど……まあいいや。
じゃ、ゴールド先輩に見つからないように楽しんでね」
よい誕生日を!
意味深すぎる言葉を残し、足早に去る2人。
まさかあの2人、本当にクリスタルさんを連れてきてるわけじゃないだろうし、
だったらプレゼントは何だ?
クリスタルさんに仕事があるのは知ってる……スケジュール聞いたんだ、悪いかよっ!?
家の外に出て見渡すと、大きなピンクの包装紙。
緑色のリボンが何とも毒々しい……色彩感覚を疑う。
デカすぎる、本当にクリスタルさんが入ってるみたい。
ちょっと期待しながら、その場でリボンをほどいていく。
クリスタルさんの等身大抱き枕とかだったら、
一生ルビーとサファイアにこれから口きかない、と決めながら。
「………………えっ、と?」
悪ふざけも大概にしてほしい。
明らかに誘拐してきたのだろう、白衣姿のクリスタルさんが膝を抱えていた。
***
サファイアが作戦に加担していたと仮定するならば、何か盛ったのだろう。
眠りこけてるクリスタルさんは両手首と両足(さすがだ)をロープで縛られていた。
徹底してるな……ルビーを敵に回したくないと切に思う。
「いや、そうじゃないよな。気にするのはそんなことじゃない、この状況下だよな」
今、クリスタルさんが目を醒ましたらどうなるか。
簡単に予測できた。
拘束された状態、白衣姿、盛られた薬、後輩の家で、抵抗する力は無く。
最悪のシチュエーションだった。
何してくれるんだあいつら。
殺意が湧いたが、箱の中で眠ったままにしておくのはもっと状況が悪化するだけだろうから家に運んだ。
ベッドに寝かせるのも危うい気がしたので、ソファーに寝かせてもらう。
ありがとなジュカイン、と声をかけながらポケモンをボールにしまう。
こういう時の対処法、誰か教えてはくれないだろうか。
「…………うん、寝よう」
知らなかったフリをするのが一番だ、うん、きっとそうに違いない。
人間、極限まで追い詰められると放置する以外に方法が思い付かなくなるものなのだろうか。
オレがネタ切れなだけ?
眠くもないし、眠れる気もしないけど目をつむった。