文章

□張り合いバースデイ
2ページ/3ページ




全米が泣いた系の泣ける映画がヤバすぎた。

ドキュメンタリー形式でもノンフィクションでもないのにここまでとは。

涙腺を崩壊させたいのだろうか?

しかしながらにさすがは巨匠と巷で噂の監督の映画だ、ハッピーエンドだった。

しかしダブル主人公とは……男の子も女の子も演技力がすさまじかった。

お父さんもお母さんも満足してくれたみたいで、出演者のブロマイドを選んでから映画館を後にして、家で昼食。

それから家でブロマイド見がてらくつろいでいると、シルバー達がやって来た。

シルバー達とは、トキワのカラオケで4時間はしゃぎ続けたわ!

楽しかったなあ……プレゼントに、シルバーからは高性能なタッチパネル式タブレットを、
クリスからは可愛いネックレス、ゴールドからは何故かシックな懐中時計をもらった。

懐中時計って…………ゴールド、私を何だと思ってるのかしら。

確かに素敵なデザインで嬉しいけれど、自分用に買ったけど使わなさそうだから人にあげた、感が満載だった。

ま、まあいいんだけどね…………誕生日に仕返しをしてやろう。

はてさて、いよいよ来ました午後6時。

楽しすぎて、濃密な1日だったし、ちょっと疲れてしまっているけれど。

それでもジムの前で、ワクワクした気持ちを抑えられずにいる。


「あ、ブルー!もういたのか!早いなあ」

「お前のせいだぞ、俺は早く行くべきだと言った」

「うわっ、グリーン、セコい!俺のせいにしやがったー」

事実だろ、としれっとした顔で言うグリーン。

遅れてきた割には2人とも、なんかひどくない?


「レッド、何なのよコレは!
 招待状、だなんて表面上だけで中身は果たし状みたいじゃないの!」

「ええー、だって普通の招待状とかつまんないだろ?でもよく気づいたな、俺が書いたって」

「当たり前でしょ、あんたの字って特徴的だもの」

怒りを、別方向に少しだけシフトチェンジさせてぶつければ、ふてくされるレッドにグリーンが静かに罵声を浴びせる。

あー、またケンカしだしそう。

もう、仲がいいんだか悪いんだか。


「誕生日に果たし状さながらの招待状を出すなんて正気じゃないな」

「悪ノリしたんだって!深夜のテンションだったんだよ!」

「お前の誕生日も同じことをしてやろうか」

「うぐ……ね、ネタの使い回しはよくないんだぞ?」

「1年に一度しかない誕生日にネタを使ったのか、ひどいな」

「…………何も言えまい」

レッドが不憫な状況下に変わってしまった。

まあ、自業自得じゃないの?

我ながらひどいけど、そう割り切った。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ