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□張り合いバースデイ
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全米が泣いた系の泣ける映画がヤバすぎた。
ドキュメンタリー形式でもノンフィクションでもないのにここまでとは。
涙腺を崩壊させたいのだろうか?
しかしながらにさすがは巨匠と巷で噂の監督の映画だ、ハッピーエンドだった。
しかしダブル主人公とは……男の子も女の子も演技力がすさまじかった。
お父さんもお母さんも満足してくれたみたいで、出演者のブロマイドを選んでから映画館を後にして、家で昼食。
それから家でブロマイド見がてらくつろいでいると、シルバー達がやって来た。
シルバー達とは、トキワのカラオケで4時間はしゃぎ続けたわ!
楽しかったなあ……プレゼントに、シルバーからは高性能なタッチパネル式タブレットを、
クリスからは可愛いネックレス、ゴールドからは何故かシックな懐中時計をもらった。
懐中時計って…………ゴールド、私を何だと思ってるのかしら。
確かに素敵なデザインで嬉しいけれど、自分用に買ったけど使わなさそうだから人にあげた、感が満載だった。
ま、まあいいんだけどね…………誕生日に仕返しをしてやろう。
はてさて、いよいよ来ました午後6時。
楽しすぎて、濃密な1日だったし、ちょっと疲れてしまっているけれど。
それでもジムの前で、ワクワクした気持ちを抑えられずにいる。
「あ、ブルー!もういたのか!早いなあ」
「お前のせいだぞ、俺は早く行くべきだと言った」
「うわっ、グリーン、セコい!俺のせいにしやがったー」
事実だろ、としれっとした顔で言うグリーン。
遅れてきた割には2人とも、なんかひどくない?
「レッド、何なのよコレは!
招待状、だなんて表面上だけで中身は果たし状みたいじゃないの!」
「ええー、だって普通の招待状とかつまんないだろ?でもよく気づいたな、俺が書いたって」
「当たり前でしょ、あんたの字って特徴的だもの」
怒りを、別方向に少しだけシフトチェンジさせてぶつければ、ふてくされるレッドにグリーンが静かに罵声を浴びせる。
あー、またケンカしだしそう。
もう、仲がいいんだか悪いんだか。
「誕生日に果たし状さながらの招待状を出すなんて正気じゃないな」
「悪ノリしたんだって!深夜のテンションだったんだよ!」
「お前の誕生日も同じことをしてやろうか」
「うぐ……ね、ネタの使い回しはよくないんだぞ?」
「1年に一度しかない誕生日にネタを使ったのか、ひどいな」
「…………何も言えまい」
レッドが不憫な状況下に変わってしまった。
まあ、自業自得じゃないの?
我ながらひどいけど、そう割り切った。