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□ポケモン・クエスト!
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「ほとばしるは数多の稲妻を従える小さき者、ピカ!」

『ピッカァ!』

「グリーン、レッド、いくわよ!一斉攻撃“ハイドロポンプ”」

「言われなくても分かってる……っ!」

ポケモンを召還するレッドに、杖から大量の水を勢いよく噴射させるブルー、

剣を振り落とすグリーン。

一斉攻撃、と言われたからか召還獣であるはずのピカチュウ(ニックネームはピカ)も力強く稲妻を落とした。


「くっ……やはり、手強いな」

「そりゃ、これくらいでやっつけられたら楽だけれど、仕方ないじゃない」

土煙に包まれるミュウツーを見ながら、悔しそうに話す。

たまらず、レッドも策を使うことにした。


「万緑の青を繁らせ、我の周りを葉で覆え、フッシー!」

「! 3要素の合体攻撃か」

気づいたグリーンを嘲笑うかのようにミュウツーが自身のスプーンを
レイピアのごとく変形させ、攻撃を開始する。


「グリーン!レッド、私は補助魔法をかけるから!」

「分かった。ピカ!」

押され気味の勇者を助けようと錯綜する仲間たち。

名前を呼ぶと、すぐにピカは可愛らしい表情で擦りよってきた。


「ちょっ……まだバトルの途中だぜ?頑張ってくれるか?」

こくん、力強くうなずく。

レッドも信頼しきったように杖を握り直した。


「放て、身に余る程の電撃を!“ボルテッカー”!!」

「補助魔法“つるぎのまい”!」

援護組の活躍により、グリーンだけと戦うわけにもいかずミュウツーが退いた。

明らかに前よりも―――こちらが優勢な流れに、なりつつある。

だが気を抜かないようにしながら、グリーンはミュウツーを見たまま剣を天高く、空に突き刺した。


「いくぞ!」

「おうっ!」「了解っ!」

呼吸をあわせて、それぞれにそれぞれを理解しているからこその、連結合体技。


「“ブラストバーン”!」

「フッシー、“ハードプラント”!」

「“ハイドロカノン”ッッ!」

炎をまとう剣に、背後から噴射してくる水とツルや葉が混ざりあう。

三者三用、それぞれの全力は。

渾身の一撃となり、剣の軌道にのせられる。


『―――――まさか』

ミュウツーがスプーンで防御するも、間に合うはずもない。


「うおおおおおお!!!」

平凡な剣を持った勇者は、同じく平凡な道具を持ちながらも気心知れた、非凡な仲間と。

長い長い旅に、終止符を打った。
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