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□燃えるサザンカ
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「暇ったい!」

サファイアの苦痛を隠そうともしない声が部屋に響く。

仕方ないだろ、そんなことを言ったって。

梅雨なんだから、雨なんだから、外に出て遊べないのは仕方ない。

そんなことはサファイアも、分かってはいるだろう。

だけれども彼女は、不服そうな言葉をまたこぼす。


「暇、暇、暇、暇かっ!暇すぎてつまらんち、何かしてほしか!」

「何かって……何を?」

「鬼ごっこ!かくれんぼ!だるまさんが転んだ!」

そんなアクティブな遊び、室内でするには相当広くなくちゃいけない。

僕の部屋はそこまで広いわけじゃない。


「却下だよ。もうちょっと、常識的に考えてよね」

まったく、とあきれながらに言うと、頭にきたのかサファイアは顔をしかめながら言う。


「何ね、ルビーに案でもあると?」

「無いよ。本でも読めばいいじゃない、そうカリカリしないで黙っててよ」

僕は縫い物があるんだ、と言えば、彼女の怒りの沸点は達してしまったようで。

何ね!と、叫びのたまった。


「何ね!まったく、また女々しいことばっか!
 ……ちょっとはあたしに構ってくれたって、バチはあたらんち、思うったい!」

「構ってほしかったの?」

「むぅ……もうよかっ!ルビーなんて嫌いったい!」

力任せに、抱きついていたクッションを僕に投げてくるサファイア。

慌てて横に飛び抜いて避けると、背後の花瓶が地面に落ちた。

ぱりん。

儚く脆く、割れてしまった陶器、散った紅と藍の2輪の花。

もう取り返しはつかないのだと、やけに明瞭に示しているようだった。

「う――――う、ぅ」

サファイアがうめいて。

声を出さずに、もう一度だけ「大っ嫌い」と呟いた。

僕もだよ、なんて返せるはずもなく。

見つめてくるサファイアの青い青い目を見たまま、僕も声には出さずに、「僕は大好きだ」と呟く。

とたんに頬が紅くなって、別のクッションをさっきとは違う感情から投げるサファイア。

今度は壁の絵画に当たって、床に落ちるとガラスが砕けた。


「あたしはあんたのことが、全然分かんないったい……」

「僕も君のこと、全然分からないよ」

微笑むと、サファイアは疲れたようにそっぽ向いてしまった。




 えるサザンカ

 (儚いけれど、忌み嫌うのはどうなんだろう)





















なんだこれ。

テーマは「暇すぎて物を破壊するサファイア」。

我ながら意味が分からない。

ツンデレ?
そもそもルサ?
え、何か違くない?

どこに謝ればいいのだろうか。

ルビーの誕生日文を書く前のルサ練習でした。

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