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□トロピカルバースデイ
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パイナップルを食べよう。

午前8時を過ぎた頃、俺はまだ夢の中だったんだけどよ、
唐突にインターホンが連打され、やむなく玄関に赴くと、この一言。

レッド先輩、グリーン先輩、ブルー先輩、イエロー先輩がそこにはいた。

主犯はレッド先輩?ブルー先輩?どっちだろ。

それにしてもパイナップル?

急にどうしたんだろうかと思ったけれど、リビングに通したとたん、ドン!と
パイナップルを机に置くグリーン先輩。

ってグリーン先輩!?

まさか毎年、みどりの日にラムネをぶっかけてる報復についに乗り出したのか……?

おののきつつも恐る恐る先輩を見やると、いつもと同じように無表情だった。


「あの……グリーン先輩?」

「何だ」

「持ち方が怖かったんスけど。
 というか何故パイナップルなんスか?」

葉の部分を片手でガシリと掴む姿は怖すぎだ。

一番聞きたかったことを口にすれば、グリーン先輩は2人の先輩にアイコンタクト。

いいなあ、なんか、信頼関係がうかがえる。


「何でって、今日はゴールド、誕生日なんだろ?
 シルバーが教えてくれたぜ」

「そうそう。だから、誕生日プレゼント!
 遠慮しないでね、私たちは元から遠慮する気ないから!」

「えと、ボクは……他にもプレゼント、ありますから!その!」

シルバー、先輩方に誕生日を教えてくれたのは嬉しいが、明らかに悪ノリしてるのはお前のせいなのか?

誕生日プレゼントがパイナップルって、俺の誕生日って一体。

イエロー先輩のフォローがむしろ悲しい。

楽しそうなレッド先輩とブルー先輩をげんなりしながら見ていると
グリーン先輩はパイナップルを再び持った。


「包丁、貸してくれないか?
 切り分けたいんだが」

「え、あ、はい、ちょっと待ってください」

わたわた、と包丁を探し出せば手慣れたように包丁を片手に持つ先輩。

人を殺しそうで怖いんだが言えるはずない。


「ところで、パイナップルってどう切るんですか?
 ボク、缶詰に入ってるドーナッツ型にするのって、大変そうだと思っていつも感心してたんです」

イエロー先輩の悪気の無さそうな言葉に、場が静まり返った。

しん、とするなか、イエロー先輩はレッド先輩とブルー先輩に
ボク何かマズイこと言いましたか、と青ざめた顔で言っている。

確か、パイナップルってくりぬく専用の道具が必要だった気が。

いや、家庭でも食べられるよな、多分だけど……でもやはり。

全員が絶句していた。

どう切るのか分からない、という今更ながらの初歩的な問題に。


「とりあえず、葉と切り分けてみたら、何か分かるかもしれないっスよ」

「……だな」

ザクッ。

こんな切れ味よかったっけ、と思うほどアッサリ綺麗に切り落とされる。

グリーン先輩に包丁持たせて大丈夫だっただろうか……まだ怖いんだけど。


「中の芯って食べられないのよね?」

「そうか、じゃあ輪切りにして切っていこう」

ブルー先輩の助言にグリーン先輩は淡々と順応する。

甘い独特な香りが鼻をくすぐった。

うわあ、超黄色!

熟れ熟れの食べ頃だ!


「何か皿、ないか?」

「あるっスよ!
 今出しますから、ちょい待ってください」

食器棚から適当なサイズのものを出すと、黄金が盛り付けられていく。

フォークを添えてテーブルにおけば、さあ今食べずいつ食うのか!

食べるぞ、とフォークに刺した刹那、インターホンが鳴って、話ながら入ってくるシルバーにクリス。

後ろに続くのは……ルビーとサファイア、エメラルドか。


「お誕生日おめでとうございま〜す」

最後に入ってきたのはダイヤモンド、パール、プラチナで。


「………………」

絶句するしかない今日の主役のはずの俺。

仕方ないよな、全員が小脇にパイナップルはさんで来たんだから。





「お前ら全員……ッ、俺をなめてんのか!!??」




怒鳴りながらも、楽しんでる俺って相当優しいと思う。

冗談だ、って笑いながら全員がパイナップルとは別に何か取り出す。

当たり前だろ、冗談じゃなかったら、この場で泣いてやるっつーの!

先輩の切るパイナップルが増加して、卓上のパイナップルも増えた。

お前らも食えよ!

今日は一日中、口の中がトロピカルになりそうだ。


 トロピカルバースデイ

 (常夏の気配を感じる生誕日!)
























すみません、遅れながらにしてこのクオリティ。

パイナップル食べたので。
はい、それだけです……すみません。

考えてみれば常夏ってホウエンじゃ……?
気にしない方向性で突き通すことにしました。
カントー&ジョウトにも四季はあると信じてる。

パイナップルはゴールドな感じがします!
私だけかな!

スランプな感じでごめんなさい!

ゴールド、お誕生日おめでとう!

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