文章

□たったひとつの触れる方法
1ページ/1ページ




レッドとナツメ


今日はレッドの誕生日。

のんびりしたい、というリクエストに応えて盛大なパーティー等は取り止め、家でゴロゴロすることになった。

私としてはあまり、そういっただらしのないことはしたくないのだけれど、彼の我儘を今日くらいは聞こうと思う。


「ナツメ!俺、プリン食いたい」

「……私にどうしろと?」

「察してくれよ!」


察しなくとも、心なんて読まなくとも単純なレッドの考えることなんか分かってる。

でも、あまりそういったことはしたことがないから、はぐらかす意外に思い付かなかった。

そういったことが得意なのは、どちらかというとアイツだから。


「なー、頼むって!一生のお願い!」

「それ前も聞いたぞ……お前の一生は何回あるんだ」


仕方ない、ここは私が折れるべきか。

善処するが期待はするな、とだけ言い残して私はソファーから立ち上がった。



 ***



一時間ほど経過した、レッドは待ちくたびれたのか疲れていたのか、眠ったようだ。


「しかしまあ、どうしたものか」


菓子作りなど悪の組織に属していたのだししたことがない。

理由にならないかもしれないが、あの組織で結構な地位を確保しながら
ジムリーダーを勤めるのはなかなか至難の技だった。


「フーディン、これでいいと思うか……?」


何とか形になったソレは、レシピ通りに作ったはずなのにどこか歪。

私の経験不足のせいに違いない。


「!」


ひとくち口にふくみ、気遣うように笑顔を見せるフーディン。

どうやら可もなく不可もなく、な微妙な出来のようだ。

初心者なのだ、不可もなくできただけでも幸運と思おう。

冷蔵庫にとりあえず冷やしておくことにし、いまだ眠ったままの言い出しっぺに近づく。

暢気に寝ているアイツは私を信用しているようで、
こいつと私の今の関係を考えれば当たり前なのかもしれないが、やはり戸惑ってしまう。

かつての敵で、仲間で、同じ傷を持つもので。


「ここまで来ても私はまだ、お前に触れることに戸惑ってしまうよ」


聞こえていないだろうからこそ、素直に言える。

手を伸ばせば頭をなでられるのに、それをためらう彼女だなんて彼女といえないよな。

これくらいしか、お前に触れる術を知らないよ。

絶縁グローブ越しに触れた彼の手は、眠っているからかとても暖かくて。

私の心まで溶かして、優しい気持ちにしてくれそうだ。


「誰にでも優しいお前のこと、私は誰より好きだよ」


吐くほど甘い台詞も、お前の聞こえない所でしか言えやしなかった。


 たったひとつの触れる方法

 (過ちを無視してお前に触れられたら、どれだけいいか)























初めて書いたナツメ様。
スぺも何気にBW2のポケウッドでもう一度でてくれないかなあ。

ぶっちゃけナツメ様、何も覚えてません。
すみません。

それでも書いた、書きたかった。

温泉の時の描写の際どさが忘れられないんだもの!←

はたしてレナツはマイナーでもCPあるんでしょうか。
誰か教えてくだS……自分で調べます、はい。


 title by:確かに恋だった






[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ