文章

□違う、好きだからだよ
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「喉、腫れてるぞ?」

「え、嘘」


指摘されてから初めて、自分が無意識のうちに喉に手を当てていたことに気づく。

触っただけでも、腫れだろうか、膨らんでいるのが確認できた。

アレルギーや何か?

いや、今まで一度もそういうことがあったわけじゃない。

慌てて化粧室に飛び込み、鏡の中のもうひとりの私を、まじまじと見つめた。


「蚊に刺されてるのかしら?」


そっと慎重に指先で触れれば、特有のぷっくりとした異様なふくらみ。

かけば赤くなってしまうからあまり強くかいてはいけない、多分。

欲望を押さえつけて我慢しながら心配そうな顔をした彼の元に戻って、何でもないよと笑った。


「本当に大丈夫か?

 ブルー、―――――触っても、いいか?」


それは唐突だった。

かたん、小さなキャスターの移動音、気付いたらグリーンは立ち上がっていて、正面の私の喉元に手を伸ばしていた。


「ん…………いいけど、かゆいんだから悪化させないでよ?」


我ながら無茶な代案だけれど、それ以外に言葉が思い付かなかった。

喉を指で撫でられる、喉なら別にいいや、って許可したけれど、
何だか私の命が握られているみたいでいい気分にはなれなかった。


「なあ、」

「なに?」


目が合った、いつもより近い距離、喉元まで心臓が上がってきてしまったみたい、
この心音はこいつの指先に伝わってしまっているんだろうか?

恥ずかしいなあ、とっくに捨てたと思い込んでいたそんな感情に私自身驚きながらも心臓のペースは依然スピードを緩めない。

ちょっとは遅くなったって大丈夫なのにね、何を急いでいるんだろう。


「少し押しても、いいか?」

「え?押す、って――――」


答えるより先に押されて、それは押すというよりも押し潰されているような感覚。

命が握られる、どころじゃない。

命が消されるような、そんな危うい感覚。

ちょっと、なんてことをするのよ、条件反射的に浮かんだ涙で視界が霞む。

服の袖を引っ張れば、慌てたように首の辺りから指や腕が離された。

再び突き放されたような不自然な距離感に戸惑いながらも、ケホケホと
たんが溜まったような感覚をはらって息を整える。


「なんで、…………グリーンは私のこと、殺したいの?」


まさか、とすぐに返ってきた。

じゃあなんで?

私には全然分からないよ、とさっきとは違う理由でにじみだした涙を流すまいと
こらえながら声をあげると、彼は気まずそうに、だけど私に向き直った。


「違う、好きだから」


好きだから、喉を押して、お前をこの瞬間に閉じ込めたいと思った、だなんて。

要は殺したかったのよね?

独占欲のあらわれっていうの?

でもそんなのって歪んでるわ!

私はそんなの望んでない、私は……私は普通にグリーンが好きで、グリーンと一緒にいたいとは思うけれど、
死にたいとは思えないよ?

口を開けない私、何も言わないグリーン。

そう言った彼の視線は私の喉に刺さったままで、私の瞳には映っていなかった。


 違う、好きだからだよ

 (だったらお願い、やましいことがないのなら、私の目をちゃんと見て)
























お題は確かに恋だった様からお借りしました!
何でしょうねグダグダ!

不意にブルーさん、というか文句を言う姉さんが書きたくなって衝動書き!

グリーンさんは危ない。
グリーンさんが危ない!

喉って蚊にさされることが(私は)多いのですが、一般的にはどうなんでしょうか。

まあよくさされても首は絞めちゃいけませんが。
第一ポケモンの世界に蚊なんかいないですよね、
ジムとか言ってるのにパロディぽくて、ごちゃごちゃで意味不明でごめんなさい。

変な話をすみませんでした!


 title by:確かに恋だった




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