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□奪うからこそ宝石は美しい
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―――だから再会して、しばらくは言葉が出なかった。

あの大人しかった内気ながらに悟りきっていた少女の面影は無かったのだ。

代わりに、純粋無垢で向こう見ずな少女になっていた。

最初に選んだポケモンが、同じ炎タイプだったこともあり、話す機会もあった。

だけれど、過去のことをおくびにも出さないサファイアに、むしろ俺の方がおかしい気がしてくる。

昔の記憶を、無くしているのだろうか?

そんなことは、きっと……きっと無いはずだろうけれど。


「あ、おったと!グリーンせんぱーい!」


小難しく考えるのは止めよう。

肩書きがどうであれ、昔がどうであれ、サファイアが同じ図鑑所有者であり、後輩であることは変わらない。


「何だ?」


「ちゃものブラストバーンの威力が前より上がったけん、見せたくなったんです」


見てほしかと思うったい!

楽しそうに言われて、羨ましくもなった。

前は同じようなことを思っていたのに。

今ではもう、お前も俺の先にいる。


「…………スゴいな」


「やった!褒めてもらえて嬉しか!」


素直に喜ぶ彼女が、儚げな彼女とダブって消えた。

過去のお前はもう、お前の中にはいないのか?

俺が昔のサファイアに執着したって意味など無いけれど。


「あ、ルビー!」


やって来た男に駆け寄るサファイア。

もしかしたらルビー、お前が過去のあいつを奪ったのか?


「………………そんなわけ無いか」


後輩に対して何を考えているんだか。

部屋を出ていく間際、すれ違い様に目があった。

あの、幼馴染みと同じように赤色のはずの紅目は一体、俺に何を伝えたかったのだろう。

藍色の双眼が、そんな俺たちを不安げに見つめていた。




 奪うからこそ宝石はしい

 (できれば、奪われていてほしくはなかった)

   title by:しろくま



























グリーンから見たサファイアでしたが……グリ→サファ←ルビみたいなドロドロ展開に見えなくもない。
そんなの戦慄するしかないし嫌すぎますが。

個人的に、親や祖父?の七光りでここまで上がってきたと世間に思われて、不貞腐れちゃってるグリーンが好きです。
そういうの楽しい←

一方でサファイアは、あのボーマンダ事件以降そういったことは考えなくなってしまい、不貞腐れてないと信じてます。
そんなサファイアに、昔は俺と一緒で不貞腐れていたくせに!ってなるグリーンどうですか。

ルビーは完全に勘違い野郎です。
俺の彼女に手ぇ出すんじゃねえよ、みたいな。
ごめんルビー。

友人から「××から見た××」みたいなモノを書いてほしいと言われて、早数ヵ月。
すまん友人、これが私の限界だ。
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